走・凱編 前はこうだったから今度も
もし、
しかし、現に俺はそういう立場にない。その立場にないということは、また別の判断をする必要があるということでもある。客観的に俯瞰的に物事を見るということだ。
いくらそれまで言ってたことと矛盾しようが、朝令暮改のように下の人間に思われようが、現実に則した対応をするのが責任というものだと思う。
実際に、
それを提示しなきゃいけないんだ。たとえ、<
無論、俺の判断が常に正しいとは言わない。結果として間違っている時だってあるだろう。だからこそ、俺の家族が全員、盲目的に俺に従う必要はないんだよ。
反論があるなら言ってくれればいい。俺はそれについては耳を傾ける。耳を傾けた上で、総合的に判断する。
たぶん、俺が普段からそういう姿勢を示してるから、皆は俺をボスだと認めてくれてるんだろうな。ただ単に独善的だったら、たぶん、こんなに穏やかな関係じゃなかったと思う。
何かといえば衝突して、その度に俺が強権を発動して従わせる形になって、不平不満を醸成していったんじゃないかな。
最終的には俺が決断しなきゃいけないとしても、最初から聞く耳を持たないという態度は、むしろ悪手だと感じてる。話を聴いた上で、徹底的に検証した上で、
『残念だがそれは聞けない』
という場合もあるだけなんだろうな。
『どうせこいつもいつか人を喰うんだろ!?』
と主張したとしても、それについて耳を傾けた上で、
『その主張は聞き入れられない』
そう決断するのが役目だと思ってる。
大体、人を襲うという危険性だけなら、
ただし、それが常に上手くいくとは限らないことも承知してる。
だからこそ、個別の事例で、その都度その都度、判断しなきゃいけないんだよな。
『前はこうだったから今度も!』
というのは実は必ずしも通じないんだよ。
安全、危険、どちらの場合においてもな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます