誉編 最弱
正直、疲労困憊という感じだ。俺自身はほとんど何もしてないが、状況を見守っているだけでごっそり神経を削られたよ、
だが、それと同時に
これまでも基本的にはそう思っていたものの、正直、どこか信じ切れてなかったのも本音だった。
なにしろ、親にとって子供はいつまで経っても<子供>だからな。
そういう部分で、『子供だから』っていうフィルターが掛かってたんだろう。
今後は、今まで以上に気にし過ぎないようにしよう。あいつらのことはあいつらに任せよう。
と、自分に言い聞かせることになるだろうな。今まで以上に。
なにしろ、子供がいくつになろうがついつい心配してしまうというのも親心というものだろうし。
そんなことを考えているところに、
「ただいま戻りました」
と声が掛けられる。エレクシアとイレーネだった。
「お疲れ様。無事でよかったよ」
ロボットだから疲れる筈がないんだが、ついそう言ってしまう。こうやって労いたくなってしまうのも人間ってものじゃないかな。
しかし、エレクシアは、
「ダメージは許容範囲内です。問題ありません」
と、素っ気ない。
だが、それに続けて、
「ですが、ありがとうござます」
とも言ってくれた。それがまた俺にとっても心地好い。
そうか…相手を労うことで自分も癒されるんだな……
そんなことも思ってしまう。でもそれは、エレクシア達が、そう感じるに値するほどに俺達に献身してくれてるからというのもあるんだろう。
ローバーのドアを開けて乗り込もうとするエレクシアとイレーネに、彼女達の強さを知らない
俺がもし、ローバーの外に出ていたら同じように襲われて、しかし彼女達のようには退けられなくて、下手をすれば命を落としていただろう。
つくづく、俺はここでは、シモーヌと並んで最弱なんだろうなと感じるよ。
とは言え、
それでも、あいつはちゃんと自分の群れを守ってる。
<パパニアンのボス>として、しっかり役目を果たしてる。
家に戻るローバーの中で、メイフェアのカメラに捉えられている、
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます