また君を待つ

戸賀瀬羊

第一話

夢の中。

激しい雨で周りの音も聞こえず、景色も見えない状態で、いつの間にか目の前に子どもがいる。


こっちは傘をさしてもずぶ濡れなのに、まったく濡れていない不思議な子どもだ。

その子は不思議そうにこちらを見てから、はっと何かに気が付き、微笑む。


私はその子をなぜか放っておけない。

濡れてもいないのに、風邪をひいてしまうという考えが頭をよぎり、傘を差しだすと……子どもは消え、雨が止む。


「あっ、これは何度も見た夢だ」と気が付いた途端、目が覚める。



そんな朝は、カーテンを開けると決まって綺麗な虹が出ている。そこから目を離した頃には、どんな夢を見たのかもう覚えていないけれど、ただ、たまらなく雨が恋しくなるのだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

また君を待つ 戸賀瀬羊 @togase

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ