第8話 新たな出会い
朝食を食べ終わった俺は、両親に見送られて宿を後にして魔法学院へ向かった。
総合魔法学院は王城の近くにあり、俺が泊まっている宿からは徒歩で三十分くらいの所にある。
俺が学院の門を通ろうとしたときにどこからか声が聞こえてきた。声のする方を見てみると、男子三人が女子二人を囲っていた。
男達の服装からしてこの学院上級生のように見える。なぜその男達がこの学院の入学試験を受けに来たと見える女子二人になぜちょっかいをかけているのだろうかと疑問に思ったが、とりあえず助けてあの二人に理由を聞こうと思った。
「そこのお兄さん達。女の子相手に三対二は卑怯ですよ」
俺は上級生と思しき三人組に声をかけた。すると、
「うるせえな、ガキが。痛い目みたくなかったら下がってろ。それに最初に俺達にちょっかいを掻けてきたのはそこの女二人だ。だから少しかわいがってやろうと思っただけだよ」
女子二人を囲っていた男達の一人が言ってきた。
「違うわよ。そっちが最初に絡んできたんでしょ」
絡まれていた内の一人の赤髪のロングヘアーで胸の大きな女の子が言ってきた。
「私達がここを通ろうとした時に、あなたの肩が私にぶつかってきたから謝ってて言っただけじゃない」
「ふざけるんじゃね~ぞ。お前がぶつかってきたんだろうが!! 俺達が見逃してやったらいちゃもんつけてきやがって、一回痛い目に合わないとわかんないようだな」
男達は、彼女の言葉を聞いたとたん二人に襲いかかろうとした。それを見ていた俺は、
「はぁ~」
ため息をつきながら、女の子達と、男達の間に割って入り彼らの攻撃を止めようとした。すると三人の男達は少しは驚いてはいたが、
「邪魔するなお前から先にぶちのめすぞ、ガキが!!」
男達は標的を俺に変えて襲いかかってきた。
男の一人が拳を握り俺の顔面めがけて殴りかかってきたので、俺は、その攻撃にカウンターを合わせて顔面を殴りつけて倒した。他の二人も同じように襲いかかってきが、一人は腹に一発入れて倒し、もう一人の男は最初の男と同じように顔面に一発入れて倒してやった。力を抜いての攻撃だったので、男達はすぐに起き上がると素早い逃げ足で去って行った。
「ありがとうございました」
俺にお辞儀してお礼を言ってきたのは、先ほど襲われていたときは無言でいた青髪の短髪の赤髪のこよりも背の低い女の子だった。俺は、どうしてこんなことになったの聞いて見たら、
「さっきも話していたけど、私たちがこの門を通ろうとしたあの三人組が前から歩いてきていて、擦れちがったときに、三人組の一人の方が私の肩とぶつかったのよ。あの男達は何もなかったかのように通り過ぎていくから謝ってと言ったのよ。そした、あの男達が私たちを襲おうとしてきたのよ。それに私たちだけでもどうにかなったんだからね。あなたの手助けなんていらなかったのよ」
赤髪の少女が答えてくれた。
「お姉ちゃんは口ではこんなことを言っていますが、心の中では感謝しているんですよ」
青髪の妹に本心を言い当てられてしまい赤紙の少女は顔を赤らめてしまった。俺は、この世界に来て初めての友達が出来るのではないかと思い少しわくわくしていた。
そこで、彼女らの事を知ろうと思いまず自分から自己紹介してみた。
「そう言えばお互い自己紹介がまだでしたね。僕はケンイチ七歳です。得意なのは、剣を使った近接戦です。昨日ハイネ村よりこの学院の入学試験を受けるために両親と王都にやってきました。もしよかったら友達になってください」
俺の自己紹介を聞いた青髪の少女は、
「私はヒョウカ・ド・シュルド十一歳です。私は槍を使うのが得意です。是非こちらこそお友達にななってください。ほらお姉ちゃんも自己紹介して」
「分かっているわ。私は、シュルド伯爵家の長女のシェリー・ド・シュルド十一歳でヒョウカとは双子の姉妹よ。この子と違って私は魔法の方が得意よ。どうしてもって言うなら友達になってあげなくもないわよ」
「伯爵家ってことは、二人とも貴族なの?」
「そうよ。だけどあまり気にしなくてもいいから。敬語とかもいらないから」
お互いに自己紹介を終え、俺達三人は、学院の門を通り、受付へ向かった。そこで、受験番号を受け取った俺達は、試験が行われる教室へと向かった。
俺達が三人が教室へ向かう道中にシェリーが、
「どうしてあんたそんなに強いのよ。私から見てもあの男達が弱いように見えなかったのに三人を一撃で倒してしまうなんてあなたは、いったい何者なのよ?」
「何者と言われましても、僕は昔から冒険者をしているパパから戦い方の指導を受けていただけですよ」
シェリーの質問に答えた。だがこの答えは半分真実で半分は嘘である。確かに父さんからの指導は受けていたが、殆ど自分の自主練で得力だからである。
「まあそう言うことにしといてあげるわ。だけど私は、この学院に主席での入学を狙っているの。だからあなたにだって絶対に負けないんだから覚悟しておきなさい」
彼女は、俺の前に急に出てくるなり、指を指し宣言してきた。
「頑張ってくださいね。僕もほどほどに頑張りますから」
俺は、主席になんて興味はなかった。そのためシェリーの言葉に対して、少し適当に返しておいた。
シェリーは、俺の言葉を聞いて頬を膨らませて目が少し怒り気味だったが、これ以上関わっていてもめんどくさそうなのでスルーしておくことにした。
俺とシェリーのやり取りを見ていたヒョウカは、隣でクスクスで笑っていた。
「私、お姉ちゃんのこんな楽しそうな所久しぶりに見たよ」
「そうなのですか? 僕からしたら今かなり怒っているように見えるんですけど」
「前々だよ。私からしたらすごく楽しそうに見えるよ」
そうだったのかと思った。ヒョウカと笑いながら話していると、シェリーが私も話に混ぜてよ言わんばかりの目で俺とヒョウカの方を見ていた。
そんなやりとりをしながら歩いていると、いつの間にか試験が行われる教室に着いていた。
中は階段教室になっており、すでに半分くらいの受験者が座っていた。俺達も前の黒板に書いてあった席に座り開始の合図を待った。
それからも他の受験者が教室へと入ってきた。教室に全受験者が入ってきたの同時に学園の鐘が鳴り響いた。この鐘の合図と同時に教師の先生が入ってきた。先生は、黒板に注意事項を書いていった。それが、書き終わると同時に開始の合図がされるのだった。
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