第4話 特訓 2
俺と父さんは、森から出て最初に向かったのは、村にある冒険者ギルドだ。そこで、受付に討伐したブラックボアの一部を提出することで、依頼完了となった。成功報酬を貰い父さんと俺は家に帰った。
家に帰ると入り口で母さんが待っていた。
「パパ、ケンちゃんお帰りなさい。ご飯の準備出来てるわよ」
「ぐぅ~~」(ケンイチとゴルド)
母さんの出迎えを受けた俺と父さんは、家の中から漂ってくるご飯の匂いに反応してお腹が鳴ってしまった。その音を聞いた母さんは少し笑いながら、家の中に入っていった。俺と父さんもそれに続き中へと入り、食卓の椅子に座り昼食を食べた。
食事をしている間俺は、母さんからの質問攻めにあっていた。なんとかその質問に答えきってご飯を食べ終わる頃、
「ケンイチよ。一時間後に剣の稽古をつけてやるから準備しとけ」
父さんはそれだけ言い終わると、また家の外へと出て言ってしまった。
それから一時間が経った。俺は家の外に出るとすでに父さんが準備をして待っていた。
「よし来たな、始めるとするか」
「はい!! でも父さん今から何をするんですか?」
俺が、少し疑問に思いふとそんなことを聞いてみると、
「俺との打ち合いだ」
父さんの回答を聞いた俺は、頭の上にはてなマークが三つほど浮かんだ気がした。初めての稽古でこの人は子供を殺す気かと思ってしまった。
普通は素振りを見たり、基礎的なトレーニングしたりする物なのにいきなり実力者との打ち合いなんて正気とは思えなかった。その理由を聞こうと思ったところで父さんが、
「おまえなぜ最初から打ち合いなんだと思っているだろ」
その言葉を聞き、ドキッとした。この人には、人の心を見透かす能力でもあるのではないかと思ってしまった。
「その理由はな。昨日のおまえの素振りを見て、まず一度打ち合っておまえの実力を見てみたいと思ったからだ。それ以上の理由はない」
父さんは、自身満々に言ってきた。俺自身も父さんとは一度、剣を交えたいと思ってはいた。だがそのときがこんなに早く来ようとは思っても見なかった。
少し不安はあったものの、父さんの提案に乗ってみることにした。
「分かったよ。でもパパ、僕はまだ五歳なんだから少しは手加減してね」
子供らしい口調で言ってみた。俺の答えを聞いた父さんは、持っていた剣の一つを俺に渡してきた。その剣見てみると刃が付いていなかった。
それから簡単なルール説明だけをして、父さんはすぐに剣を構えた。俺も剣を構えて打ち合いが開始された。
最初に攻撃を仕掛けてきたの父さんの方だった。ブラックボアと戦った時に比べるとかなりスピードを落として攻撃をしかけてきた。俺の頭上より振り下ろされてくる剣を、真っ向から受けて立った。さすがに、
「さすがパパ。強いね。手加減されてなかったらもうやられてたよ」
俺は剣を受け止めている状態で父さんに、話かけると、
「これの攻撃をしのぐのか。面白い、じゃぁ次の攻撃はどうしのぐかな?」
父さんは、少し笑みを浮かべながら後ろに下がった。俺は、父さんの目線と、足の向きに筋肉の動きを確認して次の動きを予想した。父さんは俺の予想通り、右から剣を振り下ろして攻撃してきた。今度はそれを、真っ向から受けずに剣を使い受け流して父さんの後ろに回り込んだ。だが、受け流すタイミングが少し遅れてしまい、受け流すのには成功した物、すぐに攻撃に移ることが出来なかった。父さんは、すぐに俺から距離を取り剣を構え直した。
「さすが俺の息子だ。さっきの攻撃を受け流すだけでなく俺の後ろをとるなんて驚いたぞ。だが、相手の後ろをとったらすぐに攻撃を仕掛けないといけないぞ。だお前は、将来俺よりも強くなるかもしれないな」
父さんはとてもうれしそうだった。だが俺にはそんな余裕はなかった。いくら強化魔法で自分を強化して戦えていたとしてもスタミナまではそうはいかない。つまり長期戦になれば確実に父さんに一撃を入れることが出来ない。最初から父さんに勝てるとは思ってはいなかったが、それでも負けるのは嫌だと思った。
父さんは一呼吸をおいてから再び攻撃を仕掛けてきた。その攻撃を見切りかわそうとはしたが、俺の反応に体が付いてこずに父からの一撃を受けてしまい俺の負けで今日の稽古を終了になった。
父さんとの反省会を行った後、お風呂で軽く汗を流した後夕食を食べて早めに寝ることにした。
布団に入った俺は、今日の父さんとの打ち合いのことを思い返して、これからやるべきことがはっきりとした。まず、体を鍛えないといけない。さすがに今の状態だと、俺の反応速度に体が付いてこれない。
それと、特殊魔法の特訓である。今日稽古の時に使った強化の魔法はなかなかよかった。これをもっと使えこなせたら子供の俺でも大人と十分に渡り合える。
最後に、見切りの技術を前世の状態に出来るだけ近づけないといけない。俺の流派神道一刀流は相手の攻撃を見切り、それをかわすと同時に相手よりも早い剣撃で倒すのが基本的なスタイルである。その為にもこの見切りの技術を高めることは必要不可欠であった。
ここまで考えたところで、俺の意識は切れて寝てしまった。次の日よりトレーニングを開始して二年の月日が経ち俺は、七歳になった。
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