星間国家の辺境領

佐々木悠

プロローグ

「閣下、敵艦隊視認距離に入りました。」


「諸君、我らが主君の為に勝て。命令は以上完勝せよ!」


雄叫びが上がる。その後艦隊は1隻の損害もなく勝利。帰投した。


🔹🔸🔹🔸🔹🔸🔹🔸🔹🔸🔹

「何だこれは?」


神聖フランク帝国領N8497号惑星系の統治者エスターライヒ辺境伯は叫んだ。


「はっ?どうされましたか?」


「セバスチャン。何を考えれば機動騎士の規格はバラバラ、艦隊も既に稼働していない旧式と帝国軍払い下げの準新式が混在、財政は収入は良好なのに支出が無駄に多い事になる?」


弱冠12歳の辺境伯、ヴィルヘルム・ルドルフス・フォン・エスターライヒは執事のセバスチャン・スロバートに問う。


「それは……御父上は押しの弱い方でしたので…」


ため息しか出ない。


「兎に角、パトリキ級フリゲートとグロース級軽巡洋艦の両艦種は廃止だ。帝国軍払い下げのカイザー・ルドルフ級戦艦を旗艦としリトリュビューション級航空母艦を8隻、グロース・テリートリウム級戦艦を18隻グラーフ級重巡洋艦45隻、アーデル級軽巡洋艦65隻、ライヒスリッター級駆逐艦250隻に削減する。フリゲートは一時廃止しF級通報艦の350隻体制に移行する。」


「そ、それは!閣下、舐められます。」


「貧乏人が見栄を張るな。エスターライヒ辺境伯の名において承認する。転換訓練を急げ!」


「…閣下、一年後の帝国軍第485航空艦隊の定期寄港には如何対応されますか?」


執事のスロバートは慌てるが、エスターライヒ辺境伯付の執政補佐官アウグスタ・フォン・エスターライヒ、辺境伯の従姉あたる女性がヴィルヘルムに問う。


第485艦隊は無頼で有名である。弩級戦艦27隻に空母が23隻、巡洋艦150隻、駆逐艦300隻を有する大艦隊。火力は高く、それだけで弱小貴族から金を巻き上げていた。


「愚問だ。潰せ。皇帝陛下に通信を繋げ。」


手早くアウグスタが宮殿の通信室に接続し数分後、皇帝コンラート・アウグストゥス・リッター・フォン・アブスブルゴがソファーに座っていた。


「何用かな?」


「失礼します。陛下、少しお願いが。」


「何かな?」


「では、陛下。第485艦隊を潰しますので承諾を。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る