100年前の少女 3
翌日。
休日なのでゆっくり過ごす一家は、おはようとは言えない時間に起き出して、届いていた食事を腹に収めると、華菜は食器を片付け、牧はダイニングで椅子に座って新聞を読んでいた。
「いつの時代も世知辛い世の中だな」
一面には政治家の
「光あれば影があるって
懐かしい人の名が出てきて、牧が「そうだな」と昔に思いを馳せると、未汝が二階から階段を下りてくる音が聞こえた。
未汝の知らない未来の話をしてはまずい。
そう夫婦が思ったその時、カタカタと蛍光灯が揺れ始めた。地震か?と天井の蛍光灯へ目をやると、ガタガタッと大きな揺れが襲う。
「華菜!!」
十秒ちょっとで、揺れは収まった。華菜は傍に落ちた蓋を拾って立ち上がる。
「怪我、ないか?」
「ええ、これがちょっと当たっただけ」
蓋を
「未汝は?」
牧が階段があるだろう天井を見上げて言うと、華菜も地震が起きる前に階段を下りてくる足音を聞いたのを思い出した。
「落ちてないといいけど」
心配顔で言う華菜と目を見合わせると、牧は新聞を畳んでテーブルの上に置き、リビングを出る。
「未汝、大丈夫か?」
声をかけても返事がない。廊下を歩いて階段を下から見上げるが、未汝の姿はどこにもなかった。
「いない?」
牧は階段を上り、未汝の部屋を覗くがやはり姿はない。一階に下りてくると、華菜が階段下に立っていた。
「未汝、いないの?」
「あぁ、どこにいったんだ?」
夫婦は、絵の裏にかけてあった“時の扉”の鍵がなくなっていることに気がつく。
「牧・・・・・」
華菜が
「まさか、未汝のやつ・・・・・・」
「牧、先に行って。戸締り確認してからすぐに行くから。とりあえずこのことを
「分かった。じゃあ向こうで」
そうして牧は慌てて身支度を整えると、靴を
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