第242話 勇者パーティー現る
俺達が早めの就寝をした頃、魔王国の魔都グロガに5つの影が訪れた。
勇者パーティーである勇者リクトと聖女ミク、剣神ヤマト、賢者ツバサ、聖騎士カイトの5人だ。
全員人族の勇者パーティーは、魔王国では即敵認定の種族だ。
そんな事を知らない5人は割と堂々と、歩いて街に入る5人。
「魔王の国にもこんな都会があるんだなぁ?しかも夜なのに賑やかだ」
賢者ツバサはキョロキョロ周りを見回し、聳える建物を見て剣神ヤマトに話し掛ける。
「うむ。モンスター達にもこんな都市を作れるなんて信じられん」
剣神ヤマトは周りを忙しなく歩く、亜人やモンスターを避けながら歩く。
「あー、どうでも、いーけど。飯食って、宿に泊まりたいんだよねー」
勇者リクトは亜人が手に持つ、美味そうな肉串を見ながら歩く。
「亜人も大勢居るから、人族が紛れても、分からないと良いのだが」
聖騎士カイトは見回りらしい、モンスターの兵から隠れる様に歩く。
聖女ミクはローブの風防を目深に被り、人目を避けて目立たぬ様に無言で歩いていた。
人族の5人について、街中を歩く亜人達は一瞬目を向け、「人間?」と目を見開くが、「そんな訳ないかぁ」と言う顔をして通り過ぎる。
モンスターは亜人と人族の区別がつかないのか、どうでも良さそうだ。
「お!串焼きうってるじゃん!」
勇者リクトは屋台の串焼き屋を見つけ、人混みを無理矢理掻き分けて、串焼き屋の前に進んだ。
「リクト、目立つ行動は・・・」
聖女ミクが止めようとしたが、時既に遅し。
掻き分けられたウェアウルフのオヤジが、不愉快そうに勇者リクトの肩を掴む。
「おい!てめえ、俺を押し退けて詫びも無しかぁ!」
勇者リクトはウェアウルフを振り返り威圧を込めて睨む。
「あ゛っ!犬っころに詫びもなにもないだろぉ!俺に喧嘩売ってんのか!」
勇者リクトは左手で、ウェアウルフの襟首を掴み捻って、額が触るぐらい引き寄せた。
「い、犬っころだとぉ!むっ!てめえ人族じゃねえのかぁ!」
ウェアウルフは勇者リクトの胸を押しながら、大声を張り上げた。
(チンピラか?)
「あちゃー」と言う感じで顔を顰めて賢者ツバサが、ウェアウルフの背後に移動して、目立たぬ様に電撃の魔法を撃とうとしたが、勇者リクトの動作の方が速かった。
勇者リクトは右の拳を握り、フックでウェアウルフのコメカミを打ち抜いた。
「なんだなんだ?」
人混みに殴り飛ばされたウェアウルフ。人混みは勇者パーティーとウェアウルフを避けて、取り囲む様に広がった。
「あれ?人間じゃねえか」
「どれどれ」
「本当だ」
「何故ここに人間が?」
ざわめく都市の住民達。
そこに現れたオークの兵士達。
「どうしたぁ!」
「何があったぁ!」
「街中で争う事を、ルーデル様に禁じられてる事を知らんのかぁ!」
「人間が紛れていましたぁ!」
「なぁにぃ!」
「捕まえろぉ!」
「おい!こっちに来い!」
「あちゃー!厄介な事になったぜ」
右手を額に当てる賢者ツバサ。
愛刀クトネシリカに手を添える剣神ヤマト。
杖を握り締める聖女ミク。
諦めた表情で剣を抜いて構える聖騎士カイト。
勇者リクトは既に聖剣を抜いていた。
「ひゃっはぁー!無双の時間だぜぇー!」
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