第234話 ゾルゲ町に着いた

勇者パーティーも魔王国に行く事は知っていたが、強行突破してるとはね。


関所はボロボロに壊されてた。


どんな戦闘があったんだ?


フロスト砦の敗退と辺境伯の護衛失敗の鬱憤を晴らす為に、無双したんだろうな。


勇者リクトと聖女ミクに、聖騎士カイトと剣神ヤマトと賢者ツバサの3人が加入し破壊力大幅アップだからなぁ。


「大変だったなぁ」

ってヴァンパイアワイズマンのヨシゾーが門番らしい人狼ウェアウルフに言ったら。


「大変だよ。追っ手も全滅さ」

と悲しそうに話していた。


そして、「お前等も勇者に会わないように気を付けろよ」って心配されたくらいだ。


「有難う。会わないように気を付けるよ」って言って、関所を抜けた。


随分あっさり通れたなぁ?と思ってたら、ヨシゾー曰く。「魔族と亜人の一行なので、スルーだったのですよ」


うむ、魔族に変身して良かった。

さすがヨシゾーだ。


俺達はドラムの馬車に乗り先を急いだ。


始めに見えてきたのは長閑な農村、辺り一面に麦畑広がる。


第1村人は、スケルトン?


骸骨が器用に農作業をしていた。


ドラムに馬車の速度を落とさせ、馬車の窓を開けてスケルトンに声を掛けた。


「すいませーん。この村の名前を教えてくださーい」


スケルトンは歯が当たるカタカタカタと言う音を立てるが、声は出さない。


御者席からヨシゾーが、「ショータ様、スケルトンは喋れませんよ。この村はゴーガ村です。この先に本日宿泊する予定のゾルゲ町があります。夕方には到着しますので、今暫くお待ちください」


「あぁ、喋れないのか。分かった、少し寝ているよ」


夕方、ゾルゲ町に到着した。


先ず目につく人族の町と異なるのは、町を囲む城壁や柵、塀などが無い事だ。


モンスターの襲撃が無いのか、あっても問題が無い為なのか分からないが、外からの襲撃を想定していないのだろう。


門番などもいない事から、問題なく町の中に馬車が入っていく。


馬車を引く動物も馬だけでは無く、各種モンスターが引いているため、ドラムが引いている馬車も目立たない様だ。


そして、町中には人族がいない。殆どが亜人か人形ひとがたのモンスターだ。


獣人やエルフ、ドワーフ、ハーピーの他に、ゴブリン、コボルト、オーク、オーガ、アラクネ、ラミア、トロルなど多種多様だ。


人族の町や都市は人が多くても、人の流れがある程度、秩序立っているが、この町は何というか、雑然としている。


身体能力が高い者が多いのか、平気で馬車の前を横切り、跳躍して飛び越える者もいるし、空を飛んでいる者までいる。


「ショータ様、魔王国では力が全てですので、絡まれたら躊躇せずぶっ飛ばして良いですからね」


ヨシゾーが物騒な事を言い出した。

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