第196話 国王ダドン15世

ライル王国軍は全滅した。誰一人生き残っていない。


そのまま遺体はダンジョンに吸収し、武器や鎧、兵糧その他の物もダンジョンに収納した。


ダンジョン壁も元に戻し、スケルトン達は学園都市のダンジョンに送還し、ヴァンパイア達も学園都市に帰らせた。


野営地にはライル王国軍の跡形も残っていない。


凄惨な戦闘の跡や血肉等も一切無くなり、ただ草原が広がる。


ライル王国では1万の軍について行方が分からず、頭を捻るばかりであり、1万の軍勢がこの世界から消えた事に、底知れぬ恐怖を感じていた。


学園都市は何の被害も無く、日常が続く。


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


ライル王国の国王の執務室で、国王ダイカーンと宰相エチゴーヤが会話していた。


「ひひ、学園都市に進軍した軍が行方不明になった件ですが・・・」


「おお、何か進展はあったのか?」


「ひぃ、進展はありません。全く何処にも居ません」


「そんな事があり得るのか?」


「ひひ、今まで聞いた事も御座いません。一人二人なら兎も角、1万人の軍勢が跡形も無いとは・・・」


「学園都市の状況はどうだ?」


「ひひ、それが学園都市の住民は、我々の軍勢の事など何も知らないのです」


「むむ、そうか・・・。しかし軍を派遣するのは、莫大な費用が掛かるのだ。この埋め合わせはどうするつもりだ」


「ひひひ、軍の殆どは公爵が、学園で殺された息子の仇を討つため集めた軍ですぞ、王家にはあまり影響が御座いません」


「うむ、それもそうだが・・・」


「ひひひ、軍の責任者も公爵の兵です。公爵から報告があってしかるべき、報告が無いので敵前逃亡扱いでも良いぐらいです」


「成る程、上手くいけば領地を没収できるな」


「ひひひ、王家の損にはなりません」


「エチゴーヤ、お主も悪よのう」


「ダイカーン様も、いっひっひ」


「あっはっはっは」


「いっひっひっひ」


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一方ライル王国以外の国では・・・。


学園に王族や高位貴族の子弟が、留学していた国は、ライル王国以外に2国ある。


その内の1国であるダドン王国。


ダドン王国では、第五王子が学園在籍中に殺害されており、学園を卒業した騎士達も多く、気功士達を賊軍と認定し、討伐軍を編成中である。


国王ダドン15世と宰相ダッチャ、将軍デンガナが密談をしていた。


「学園都市の魔法兵団が負けた事は、いまだに信じられんだどん」


「本当だっちゃ。デンガナ将軍、ライル王国軍1万が行方不明になった件は何か分かったのか?」


「分からんでんがな。しかし学園都市の仇を討つべきでんがな」


「そうは言っても、魔法兵団を倒した奴等だどん。リスクが大きいだどん」


「魔抜けが魔法兵団を倒す事は、あり得ないでんがな。そんな力がある勢力はこの大陸では、帝国と魔王軍ぐらいしか無かったでんがな」


「うむ、魔王軍か・・・。そうだっちゃ、魔抜けどもを魔王軍の手先として、勇者に参戦して貰うっちゃ」

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