第186話 学園都市襲撃2

領主の居城に向かう俺達。


誰かが衛兵に連絡したらしく、詰所から衛兵達が現れた。


「貴様らあああ!何処に行くのだ!」


衛兵達は立ち止まる事無く、身体強化の魔法を使い、飛び掛かって来た。


始めから殺す気満々だなぁ。


後衛の衛兵は詠唱を始めた。


「魔弾構ええええええ!」


俺の号令で気功士達が気を纏い、魔弾を用意する。


「撃てえええええ!」


 ズダダダダダダダダ・・・。


魔弾が前衛の衛兵達に炸裂する。


後衛の詠唱が終わり魔法が放たれた。


放たれた魔法は初級のファイアボール、アイスボール、ロックボール。


詠唱が短い魔法をセレクトした様だ。


火の玉が、氷の玉が、岩の玉が俺達に降り掛かる。


「魔法を弾くぞ!」


バシュッ!


気を纏った右手を振って、俺に降り掛かる魔法を弾く。


気功士達も魔法を弾いている様だ。


「馬鹿な!何故魔法が弾かれる?」

「奴等は魔抜けじゃ無いのか?」

「魔力が無いぞ!」

「魔抜けに負けてたまるか」

ざわめく衛兵達。


「かかれえええ!」

俺の号令で気功士達が駆け出し、衛兵の後衛を襲撃した。


俺はゆっくり歩きながら、『生命力吸収』を発動した。


魔弾の直撃で倒れた衛兵の内、辛うじて息があった者達が倒れていく。


同時に後衛の衛兵達の生命力も吸収していく事で、衛兵達の動きは鈍くなっていた。


圧倒的な殲滅。


「うう、ま、魔抜けが何をした」

「魔力が無い癖に・・・」

「負けるはずが無いのだ」

「くっ」

「ぐふっ」


気功士達が驚き戸惑う衛兵達に止めを刺していく。


街の人達が遠巻きに、固唾をのんで見ていた。


「あいつら魔抜けだぞ」

「なんで衛兵があっさり負けるんだ」

「あああああ」

「俺達はどうなるんだ」


俺は住民達に声を掛けた。


「俺達は魔法社会に迫害されて、魔抜けと呼ばれていたが、今は気功士として新たな能力を得た。これから学園都市の領主を殺しに行く。止めるなら止めてみろ!行く手を阻むなら容赦はしない。手を出さなければ、見逃してやる。そこで結果をみてろ!」


口を噤み複雑な表情で、俺達を見つめ動かない住民。


俺達は衛兵達の亡骸をそのまま放置して、居城に向かう。


暫く歩くと居城が見えて来た。


俺は立ち止まり周りを見る。


「エリ、ハルカ、ユキ、ここで見守ってくれ、ここからは気功士だけで行く。気功士が魔導師を倒す事に意義があるのだ」


「そうじゃな。ここで見守るのじゃ」とエリ。


「思う存分遣っちゃいなー」

お気楽なハルカ。


「承知しんした。気を付けてくんなまし」とユキ。


3人に順番にハグをした後、また居城に向かって歩き出す。


ケット・シーのペロが俺の影から声を出す。

「最悪、アタシが命に替えても、ショータを守るにゃ」


「「「頼んだよペロ!」」」


「任せてにゃ」


「命かけるなよ。大した仕事じゃ無いぞ。散歩と変わらんよ」


俺に続いて歩き出す気功士達は、決意の眼と握る拳、胸を張って進む。


魔法偏重社会の象徴とも言える、魔法の学園都市、その領主が住まう居城に乗り込むのだ。


キャルが俺の横に並ぶ。

「ここまで来たのですね」


「キャル、あまり緊張するなよ。大した事では無い」


「これは我々気功士の歴史的な1頁です。参加出来る事を光栄に思いますので、全力で行きます」


「まあ、遣るだけ遣ってみろ」


「はい!」

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