学園都市
第155話 学園都市バクツ
俺達は馬車で学園都市バクツに着いた。
学園都市はどの国にも属していない独立した都市、いやその都市の規模から言うと、都市国家と言っても差し支えない大きさである。
周辺に広がる穀倉地帯も領地として、自給自足が出来、何よりも大陸一の魔法の知識を有し学園を運営しており、周辺国も手出し出来ない魔法兵団の武力も保持していて、バクツは魔王軍討伐の為、魔法兵団を帝国にも派遣している。
また、周辺国は挙って魔法の基礎を学ばせるため、バクツに生徒を留学させている事から、学園都市は魔法偏重社会の象徴とも言える。
俺達はいつもの様に冒険者と商人として、バクツの門を潜った。
「城壁が全く無いけど、防衛面で心配は無いのかなぁ?」
俺は周りを見渡す。
門はあるが壁は無い。誰でも自由に入れる様だ。
「都市の四隅に高い塔が見えるじゃろう。あれが魔法の障壁を展開するのじゃ。魔法障壁を展開すれば、魔物では突破出来ぬのじゃ」
エルフのエリは四隅に聳える塔を指差した。
「成る程にゃ。不思議な魔力が滲んでいる」
ケット・シーのペロは塔を魔力探知したようだ。
俺達はニャルマル商会のシャルさんの伝手で、滞在中に一軒家を借りる事にしていた。
「その道を右に曲がって、そのまま道沿いに進みますにゃ」
シャルさんの指示で借用する一軒家に向かっている。
「随分複雑な道だねぇ」
「都市全体が魔方陣になっておるのじゃ」
「ふぇ?どう言う事にゃ」
ペロは首を傾げた。
「この都市は通行料や入市税は無い変わりに、支障が無い程度に微小な魔力を都市にいる人々から吸い上げているのじゃ」
「え?分からなかったにゃ」
「その魔力を、都市の生活に必要なエネルギーとしているのじゃ」
拠点とする一軒家に着くと、シャルさんは学園都市のニャルマル商会に行き、小人の情報屋モヤジーも情報屋の支店に行った。
「ここで一旦分かれるぜ。俺もこの都市の情報屋支店に行くぜ」
「おう、宜しく頼むよ」
「任せて欲しいぜ。ショータの仇の奴等の情報も直ぐに調べるぜ」
「有難う。またな」
「またにゃ」
「妾は冒険者ギルドに顔を出して来るのじゃ。ダンジョンの情報も集めて来るのじゃ」
「分かった」
「僕もエリと一緒に冒険者ギルドに行くよ。帰りに食材を買って来るから少し時間が掛かるからね。戻ったら食事を作るからね」
ハルカもエリと一緒に冒険者ギルドに行くらしい。
拠点に残ったのは、俺とペロと雪女のユキ、ドラゴンのドラムだ。
魔神パズズのバズはエリに同行。
ヴァンパイアアルケミストのヨシゾーは、勇者と魔王軍を偵察した後、拠点の古城に戻っている。
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