第148話 ヴァンパイア5

俺達は古城跡の地下のホールでヴァンパイア達と戦っている。


俺は気配を消して、真祖ヴァラカの元へ急いだが、ヴァラカと魔神パズズのバズが飛翔し、高速の空中戦を繰り広げている為近付けない。


流石ヴァンパイアは不死の属性の魔物だ。明らかに仲間の攻撃が入っているが、ダメージがない様だ。


次第に仲間が押され始めた。


「アタシも行くにゃ」

俺の影からケット・シーのペロが声を出した。


「待って、真祖ヴァラカを何とかしないと」


ヴァラカが王座に戻り、長めの髪を掻き上げた。


右の金色の眼が妖しく輝く。


「面倒だ。皆殺しにしてやろう」


禍々しい魔力が溢れ出し、ホール全体を闇が覆う。


上空の闇から闇の槍が降り注ぐ!

幾千幾万の槍は敵味方構わず貫く。


俺は王座の後ろに回り込んで、ヴァラカの後ろから首筋に手の平を押し当てると、渾身の『生命力吸収ライフドレイン』を発動した。


そして、そのまま押し倒す。


「うぐううううう」

真祖ヴァラカは俯せになって呻く。


そして、闇になった。


俺の手はヴァラカを擦りぬけ、床に付いた。


「な、なにいいい?」

俺は驚き闇を見詰める。


闇は漂い前方に動くと、ヴァラカの姿に戻る。


「げほっ、ぜいぜい・・・」

両手を床に付いて、咳き込む。


「ば、馬鹿な!真祖の私が・・・」


ヴァラカは幾千の年月を無敵の覇者として君臨していた。


例え首を刈られても死なず、大きなダメージを負うことが無かった。


しかし、生命力吸収にてHPが2割を切っていた。


未だかつてこれ程の危機に陥った事は無く、背筋に大量の汗がながれ、死の恐怖怯える。


「ペロ!頼んだ!」


ペロはヴァラカの影から数百の闇の触手を出して、ヴァラカを拘束した。


俺はヴァラカの額に手の平を当てる。


「閣下あああああああああああ!」


ヴァンリが脇目を振らずにヴァラカの元へ飛翔する。


ヴァラカの闇の槍はヴァンリも貫いていて、傷だらけのヴァンリ。


エリはユキの氷のバリアで、ハルカはバズの風障壁で闇の槍を防ぎ、致命傷は逃れていた。


ヴァンリにエリの数十本の弓矢が突き刺さり、ハルカの風刃が切り刻む。


サラマンダーの炎が焼き尽くす。


ヴァラカの元に届いたのは、ヴァンリの肘より先の右手のみ、右手の人差し指が中指がヴァラカを求めて、精一杯伸ばされる。


しかし、ヴァラカは俺の再度の『生命力吸収ライフドレイン』で事切れていた。


ヴァンリの右手から、二の腕が生え、右肩が生え、胸が生成されて・・・。


元の姿に戻っていくが、俺はヴァンリの右手首を掴んで、『生命力吸収ライフドレイン』を発動した。


ヴァンリはその全身を現したが、HPがゼロになり死を迎えた。


「ば、馬鹿な!真祖が死ぬなんて!」


ヨシゾーは闇になって逃走を図る。


恐怖からか遮二無二闇が天井近くまで、飛翔した。


壁を擦り抜ける闇になっているはずなのに、天井を擦り抜ける事が出来ず。


「何故だああああああああ!」

叫ぶヨシゾー。


「此処はダンジョンのボス部屋になっている。俺を倒さないと出られないよ」


俺がヨシゾーに告げる。


「逃ガサンゾ」

バズが風となってヨシゾーを吹き降ろした。

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