第115話 殲滅の旅団に殴り込み

俺は『殲滅の旅団』の拠点に入った。


「こんにちは!」


明るく挨拶。


玄関の扉を開けると、広めのホールになっていて、酒場の様に丸テーブルが沢山置かれていた。


依頼を終えた冒険者達が酒を飲んで雑談していた。


此方を見て、冒険者達が口を開く。


「ん? 何処の小僧だ」

「ここはクソガキが来る所じゃねえぞ」

「サッサと出て行け」

「それとも殺して欲しいのかああ」


俺の後からダルアも中に入ると。


「お、可愛い姉ちゃんじゃないか」

「何の様だ」

「こっち来て酌をしろ!」


俺は顔を顰めながら大声で言う。


「殴り込みに来た。」


「はぁ、何ボケた事言ってんだ。クソガキがああ」


立ち上がる冒険者達。


「ちょっと待て此奴ら魔抜けだ」


と魔道士っぽい冒険者。


魔法探知で確認されたらしい。


俺は魔力が無いので、魔力探知を察知出来ないんだよね。


今後の課題だな。


「何だ。魔抜け達が自分から捕まりに来たのか、良い心がけだ」


「良し、女は地下に連れて行く前に味見しよう」


勝手なことを言う冒険者達。


その後、エルフのエリとハーピーのハルカ、雪女のユキも『殲滅の旅団』の拠点に入って来た。


「おお、姉ちゃん達が魔抜けを連れて来たのか」


「ご苦労、『殲滅の旅団』に入れてやっても良いぞ」


「先ず、魔抜けの女は俺が味見させて貰うぞ」


卑猥な笑みを浮かべて、何処から見ても荒くれ者としか見えない冒険者が、此方に歩いて来た。


俺の事は眼中に無いらしく、俺の横を通り真っ直ぐダルアに向かって行く様だ。


俺は横を通り過ぎる冒険者の脇腹に、高速のフックをたたき込む。


気を十二分に満たした、冒険者達に見えないフック、当然冒険者は防御も出来ず、まともに脇腹に直撃。


身体の内部を破壊する様に気を込めた。


冒険者の脇腹から身体全体に、気の波動が伝わりながら破壊していく。


冒険者は脇腹を押さえ悶絶して、身体を折り曲げながら倒れて死を迎える。


冒険者達が騒ぎ出した。


「ん、何を遊んでるんだ?」

「いや、殺された様だぞ!」

「何!」

「貴様ら、何をした!」


フックを出したのは、見えないと思うけど、脇腹に拳が食い込んだのは見えるだろう。


魔道士の冒険者が詠唱を始めた。


「火の玉よ、松明の炎が拳の大きさとなり、燕の速さで飛んで敵を燃やせ!ファイヤーボール!」


詠唱が長いなぁ。


この世界では魔法を放つ際、イメージが大事だ。


イメージする事が苦手な人は、火の玉であればその大きさ、炎の威力、飛ぶ速度をイメージする為、具体的に詠唱で指示する必要があるのかね。


俺は左手甲の迷宮核より、迷宮壁を盾の様に発生させてファイヤーボールを防いだ。


「な、なんと!無詠唱の土魔法?」

「魔抜けの筈なのに!」

「ば、馬鹿な、魔法を使えるのか」

「魔道具じゃないか?」

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