第81話 妖精とあった

俺達は妖精の国に向かって、森の中を進む。


「ん? 誰か来るぞ」

気配探知で察知した。

十数人の気配。


「妖精じゃな」

エルフのエリも魔力探知で察知した様だ。


「全員STOP。ここで待つ」

ドラゴンのドラムは低空飛行から足を着き、止まると、ドラムの背から俺とダークエルフのダルアが飛び降りた。


「了解」

ヌエのライヤが立ち止まり、ハーピーのハルカがライヤの背から降りた。



「承知シマシタ」

魔神パズズのバズも止まって、

エリがバズの背から飛び降りた。


「ドラムは小鳥サイズになってくれ」

「承知した」

ドラムは小鳥サイズになってダルアの肩に飛び乗った。


「パズズはちょっとの間済まないが、エリの精霊の腕輪の中で身を潜めて欲しい」

「承知シマシタ」

「了解じゃ」

エリが詠唱するとバズは精霊の腕輪に吸い込まれた。


「ライヤは小さくなれるかい?」

「問題無」

ライヤは子犬サイズになり、ハルカの足元に座った。

アライグマみたいで可愛い。


妖精達の気配は一部散開して、俺達を包囲しようとしていた。


これは初めから敵対前提かな?


エリも妖精の行動を察知した様子で、弓をいつでも射れる様に左手に弓、右手に矢を持った。


ハルカも察知して、リッチの手の骨で作られた趣味の悪い不気味な杖を構える。


ダルアはエリとハルカを見て、

銃を右手に持ち、いつでも撃てる様に身構えた。


妖精達が飛んできた。

身長15cmぐらいの人間の身体に昆虫の翅が生えている。


先頭は男の妖精。

2対4枚の蜻蛉トンボの翅。

槍を持っており、ホバーリングして宙に浮き静止した。

リーダーの様だ。

この男の合図で全員止まった。


その後ろに妖精の女性2人。

2対4枚の蝶の翅。

杖を持っているので魔法使いか?

宙に漂っている。


更にその後ろに妖精の男性3人。

2対4枚のコウチュウ目のカブトムシの様な翅を持ち、前翅が硬化した鞘翅しょうしで後翅が膜状で薄く広い。


頭はカブトムシの角の形の兜を被り、全身黒の鎧を身に着けてる。

兵士だな。


宙に浮いていられないのか、地に降り翅を背中に畳んで槍を構える。


蜻蛉トンボの翅の妖精が叫ぶ。

「お前達は何者だ!」


「通りすがりの旅人です」

「怪しいな。その肩の上にいる蜥蜴トカゲと足元のけものは何だ!」


蜥蜴トカゲは俺がテイムしている魔物で、けものはエルフが契約している精霊だ」


「精霊!」

妖精達が一斉に叫ぶ。


妖精のリーダーが威嚇しながら叫ぶ。

「お前達を連行する!

大人しく付いてこい!」


「ん~。断る!」

おいおい、説明も確認も無しにいきなり連行かよ。


すると蝶の翅の妖精から無詠唱で魔法が放たれ、火の玉が俺達に向かって飛んできた。


エリが弓をアイテムボックスに締まい、結界の盾を手にしていて、すかさず結界を張る。


火の玉は結界で飛散した。

コウチュウ目の翅が生えてる妖精達が槍を構えて飛んできた。


「おいおい、弁明も会話も無しにいきなり攻撃してくるのかよ」

「問答無用だ!」


「相手が小さすぎて、指弾では手加減出来そうに無い。ライヤ、死なない程度の雷撃を頼む」


「承知」

ライヤから雷光が発生し、コウチュウ目の翅の妖精達に雷撃が直撃して地に落ちた。

そして雷鳴が轟く。


直後に包囲していた妖精達が、四方から槍を持って飛んできたが、稲光がして、その妖精達も雷撃で落ちた。


リーダーが俺達を睨み吼える。

「やはりお前達が、精霊の黒幕なんだな!」

「何勝手に断定してんだよ。お前達が先に攻撃して来たんだろ!」

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