第59話 ニャルマル商会に集合

スタンピードで荒れる都市の中。


行く手を遮る魔物達を瞬殺しながらニャルマル商会に向かう。

俺とダルとドラム。


遠くでサイクロプスとトロルが暴れて家屋を破壊しているのが見えた。


サイクロプスまで出て来ているのか。

これでは、迷宮を囲う石壁が破壊されるのも頷けるな。


この都市の衛兵と冒険者では荷が重いだろうね。

救国の七猫のお手並み拝見だ。


ニャルマル商会が見えてきた。


魔物達の死骸が彼方此方あちこちに散乱していた。


屋上でエリが弓を構えて、近付く魔物を矢で射貫き、俺を見つけてサムズアップした。


俺はエリに手を振る。


魔物の影からペロが現れ、抱きついて来た。

「ショータにゃ。」


ペロの頭を撫でる。

「魔石を抜いてたのかい?」

「そうにゃ。」


「ニャルマル商会に入ろう。」

ペロと一緒に商会の入口に向かう。


「ハルカはどうしてる?」

「店の裏側担当にゃ。」


「そうか、皆頑張ってるんだね。」

「迷宮より楽勝にゃ。」


店の入口正面には、エリのドラゴン型ガーゴイルが入口を守っていた。


ガーゴイルの横でシャルさんが笑って俺達を迎えた。


「お帰りなさいにゃ。」

「ただ今、帰りました。」


シャルさんは俺と握手すると横に並ん商会に入る。


「この度は、貴方の仲間達に助けられましたにゃ。私達商会と市民の命の恩人ですにゃ。」


入口に入ると避難した大勢の人達。

都市中の人が商会の建物の中に避難しているかの様だ。


その中には奴隷商の男や情報屋のモヤジーの顔も見えた。


全員では無いと思うが周辺に住んでた人達殆どなのかな?


「この商会はエリさんとハルカさん、ペロさんが居る事で、王宮より安全になっていますにゃ。

我が商会は避難して来た人達を全員受け入れましたにゃ。」


「それは良かった。これで少しは恩も返せました。」


「少しなんてとんでもない!

私の方が返せない程の沢山の恩を受けてますにゃ。」


商会の1階は避難者が大勢いるので、2階のいつもの応接室に通された。


「スタンピードの詳細を聞きたい。

モヤジーさんも参加して貰おう。」


「そうですにゃ。」


シャルさんが呼びに行こうと振り返ったら、モヤジーが立っていた。

「呼ばれると思って来たぜ。」


その後ろにエリがいた。

「妾も参加するのじゃ。」


「エリ、ご苦労様。外は大丈夫?」

「外の守りはペロとダルに変わって貰ったのじゃ。」


「ダル?」

「完成した『銃』を渡したのじゃ。

そして、ついでに鑑定防止の魔道具も渡したのじゃ。」


「おお!有難う。それならOKだね。いいレベ上げが出来そうだ。」


俺とシャルさん、モヤジー、エリはソファーに腰掛けて情報交換だ。


俺が始めに口を開く。

「スタンピードは迷宮から発生した認識で合ってる?」


モヤジーが答えた。

「迷宮で発生したぜ。最初にサイクロプスが出現し、迷宮を囲む石壁が破壊されたぜ。」


「普通は迷宮内の魔物が増えて、スタンピードが発生すると思うが、俺達がかなり間引いたので、魔物が増えたとは考えられないのだがね。」


「最下層まで、あれだけ倒せば普通はスタンピードなど、起きないのじゃ。」


「だったら、ダンジョンマスターの仕業だと思うぜ。

やはり、ショータ達は最下層まで行ったんだな。

ニャルマル商会が売り出した素材を見たら分かるぜ。」


「そうだ。地下100階まで行った。」


「しかも、31階以降は狩り尽くしたのじゃ。」

「それは凄いぜ。」


「この事は他言無用でお願いしたい。」

「分かったぜ。命の恩人だ約束は守るぜ。」


「『炎猫』を倒した後、魔族マロンの屋敷に侵入したが不在だった。マロンは昨日から王宮にもいない。そしてスタンピード。何か関係があるかい?」


「ふ~む。スタンピードの原因がマロンの可能性か、魔族だけにあり得なくも無いぜ。調べてみるぜ。」


「魔族マロンの居場所も知りたい。」

「そちらも俺に任せるんだぜ。」



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