第54話 ここにも冒険者のクズがいた

猫の王国、王都キャルベルから北側の森の中。


俺達5人はペロの父さんのかたきである『炎猫』とその仲間『極炎の宴』達を待ち伏せしている。


俺、人間で『魔抜け』のショータ。

木の上で気配を消して潜む。


黒猫のケット・シーのペロ。

闇魔法が得意。

俺の影に沈んで息を潜める。


『疾風』の二つ名エルフのエリ。

森の狩人のエルフらしく、木に同化してる様に存在を消している。


『風刃』の二つ名ハーピーのハルカ。

木の上。羽を休め目を閉じている。

・・・寝てるのかも。


ドラゴンのドラム。

小鳥サイズになって俺の肩に止まる。


「う~。緊張するにゃ。」

ペロが影から顔を出した。


『炎猫』を倒すのはペロに任せる事にしていた。


「大丈夫だよ。自信持って!

迷宮でレベ上げしたから負けるはずがないよ。」


迷宮『猫の穴』地下100階まで攻略した仲間達は、飛躍的にレベルが上がって、脅威的な力を付けた。


ドラゴンのドラムには負けるが、そこそこ戦えるぐらいの実力はある。


俺は気配探知で北の方角を調べる。

「いた!」


ペロは魔力探知で調べる。

「いたにゃ。」


「『極炎の宴』は6人だったよね。」

「そうにゃ。」


「7人いる!」

「え?魔力は6人にゃ。」


「ん?気配は7人で魔力は6人か。

行ってみよう。」

「分かったにゃ。」


俺が気配を消して、ペロが影に沈み気配がある方に警戒しながら向かうと、エリとハルカも付いてくる。


女性のか細い悲鳴が聞こえて来た。

「い、いやぁぁぁ、や、やめてぇ。」


見つから無い様に静かに声に近付く。


全身麻縄で縛られて全裸で木から吊された女性、両膝も縄で吊されM字型に開脚している。

涙を流して、涎もそのままで。

「あぁぁ、や、めて下さ・・・い。」


口では言えない卑猥な事や残酷な目に遭っていた。


女性は若いダークエルフ。

耳が尖って、顔を歪めているが可愛い。胸は大きくスタイルも良い。

黒みがかった肌。


「ははは、もっと泣いても良いぞ!」

「誰も助けには来ないね。」


「『魔抜け』の女は誰も助けないさ、もし見られても素通りだ。」


冒険者達が6人、野営中に女性を無理矢理陵辱している。


「くっくっく。森に入る前に良い玩具おもちゃが手に入って良かったよ。退屈な野営も楽しめた。」


「そうだな。いざとなったら魔物の盾にしようと思ってたが、ここまでもって良かったよ。」


「そろそろキャルベルに着く。明日の朝にはおさらばだ。」


「こ、殺さないで、くだ、さい。」


「あっはっは。今は殺さないよ。楽しもうじゃないか。」


俺は冒険者達に気付かれ無いように、小声で皆に話す。


「許せない。『炎猫』は予定通りペロに任せるが、他の冒険者達の扱いは俺に任せてくれ。両手両足を使えないようにして制圧だ。」


「『炎猫』は向かって左端にいる大きいケット・シーにゃ。

他の奴等は皆に任せるにゃ。」


「分かったのじゃ。

酷い事をするのぅ。

妾も許せないのじゃ。」


「分かった。僕も怒ってるよ。」


エリもハルカも貴族の愛玩奴隷だった過去がある。

自分の事も思い出したのかも知れない。震えて憎しみの眼で睨んでいた。


「行くぞ。」


俺達は冒険者達に襲いかかった。


ペロが『炎猫』の影に移動し闇槍で両手の肩と両足の膝を貫いた。

そして闇の触手で拘束する。


『炎猫』は、両膝を貫かれ尻餅を着くが、ペロを向くと睨みながら呪文を詠唱し始めた。


ペロは詠唱の都度、『炎猫』の身体に闇槍を刺して魔法の構築を阻害する。


「くっ、何者だ!」

「黙れにゃ!

質問はこちらから行うにゃ。」


ペロと同時に俺とエリ、ハルカ、ドラムも素速く襲撃していた。


俺は女性ダークエルフの前にいた冒険者の両手両足を牙弾で撃ち抜く。


そしてアイテムバッグからナイフを出して、女性を吊した縄を切る。


俺が着ていたマントコートを女性に羽織らせた後、女性に気を込めて回復した。


エリは冒険者一人の両手両足を矢で撃ち抜く。


ハルカは風刃で冒険者2人の両手の肘と両足の膝を斬った。

両肘両膝を斬られた冒険者はのたうち回る。


ドラムは人間の大きさになり、背中から押し倒し前足で背中を押さえると、両手両足を噛み千切った。

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