第52話 冒険者ってクズだと思った

俺とペロとドラムの3人で森に来た。

ステュムパリデスと卵を狩るのだ。


ペロは黒猫のケット・シーだ。

猫の王国を救った英雄『救国の七猫』の一人である『闇猫』の子孫。

闇魔法を得意としている女の子。


ドラムはドラゴンだ。

迷宮『猫の穴』の地下100階にいたところを従魔にした。

本当は大きいが目立つので、小鳥サイズになって、俺の肩に乗っている。


ステュムパリデスは鳥の魔物だ。

体長1mで朱鷺ときに似ている。

青銅色のくちばしと翼の先端は、硬くて鎧を貫き、切り裂く。

その為、高位の冒険者しか狩れない。

だけど、とても美味しい。

だから高額で取引される。


俺は気配探知でステュムパリデスの気配を探る。


ペロも魔力探知でステュムパリデスの魔力を探っている。


「いたね。」

「いたにゃ。」


右前方2km先に巣を見つけた。

俺達は気配を消しステュムパリデスの巣に向かった。


ステュムパリデスの姿を確認すると、ペロは影移動でステュムパリデスの影から現れ、闇の触手で拘束する。


卵は影に収納し、ステュムパリデスを拘束したまま、俺の元に降りてきた。


俺は生命力吸収ライフドレインでステュムパリデスの息の根を止める。


これが素材を疵付けない俺達の狩り方だ。


ステュムパリデスをアイテムバッグに仕舞おうとすると、誰かが声を掛けてきた。


「おい!その鳥は俺達の獲物だ。置いていけ!」


ちっ、しまった。

久しぶりの屋外の狩りで、気を抜いて気配探知を切っていた。

冒険者か?


俺とペロは声の方を向いた。


俺とペロは子供だから舐められるんだよなぁ。

どうしようかなぁ。


「アタシ達が狩った魔物にゃ。」


「何処にその証拠がある?

それはステュムパリデスだぞ!

ガキどもが狩れる訳が無い。」


「どうせ拾ったんだろう。

俺様が狩った獲物だ。

大人しく返せ!」


「痛い目を見ないうちにサッサと返して逃げるんだな。」


脅しながら言って来た。

冒険者は6人か。

話するのも面倒だなぁ。

ただで渡すのも癪だし。

無視するか。


「行こう。」


ステュムパリデスをアイテムバッグに入れて冒険者達を無視。


ペロの手を引いて冒険者達と逆の方向に歩いた。


「ガキがぁ!無視しやがって。」

「おい、待てぇ!」


冒険者が俺の肩を掴み振り向かせて殴ろうとしていた。

気配で分かるんだよ。


俺は冒険者の手を掴んでぶん投げた。


「おい、死ぬ気でこいよ!」

俺は振り向き、軽く気を込めて冒険者達を威圧した。


冒険者達は急に脅えて大人しくなる。

「な、何だよ。ちょっと声掛けて肩を触っただけじゃねえか。」

「暴力かよ!」

「お前等、冒険者じゃ無いだろう。」

「冒険者ギルドを敵に回す事になるぞ。」


「じゃあ、誰もギルドに報告出来ないように、ここで皆殺しにする。」

俺は前に歩き出し威圧の気を更に込める。


「ひぃ。」

冒険者達は腰を抜かして尻餅をつく。


「どうする?」

最終通告だ。これ以上面倒な事を言ったら本当に殺す。


殺気を感じたのか急に謝り始めた。

「すいません。そんな気は無かったんです。誰にも言いません。」

「俺は声を掛けただけです。」

何人かは土下座して震えている。


「行こう。」

ペロを連れてその場を離れた。


「ショータは優し過ぎるにゃ。ちょっと気配を消してもう一度冒険者達のところに行ってみるにゃ。」


気配を消して冒険者達のところにいってみた。


冒険者達は荒れていた。

「クソガキがぁあああ!」


辺りの草を蹴り飛ばしていた。

「チクショー、ああ腹が立つ!」


「冒険者ギルドにガキどもが獲物を盗んだって報告をするぞ。」


「ギルド全体で追い詰めてやる!」

「あの黒猫の娘をさらって輪姦まわすぞ。」


本当マジか!

見逃しちゃダメなクズっているんだね。


俺は姿をあらわした。

「誰をどうするって!」

冒険者達が俺を見て目を見開く。


一人が剣を抜き斬りかかって来た。

「てめえええ!」


「問答無用だにゃ。」

ペロは冒険者達に闇槍を突き刺した。

俺も指弾を額に放っていく。


惨殺。


後味悪いなぁ、もう。


「証拠隠滅にゃ。」

ペロは冒険者達の死骸を影収納した。

飛び散った血肉も収納したみたいだ。


その後、死骸は遠くの谷底に捨てた。

その行き帰りにステュムパリデスを沢山狩った。


「こんな冒険者達が多いと、冒険者ギルドとは戦う事になるかもなぁ。」って思った。

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