大正百鬼夜行~蝶月の印~

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第0印 兄亡き今



「美子…玲子…強く…生きるんだぞ……」


「兄様ーーーーーーーーーっ!!!」




「…はっ!!」

また…この夢…何故こんなにも夢の中で思い出されるの…?お兄ちゃんが亡くなった時の夢……

『大丈夫…?美子…」

「大丈夫…ちょっと悪い夢を見ただけ…」

私の心の中にいる玲子ちゃんが心配してくれた。いつも気遣ってくれている玲子ちゃんのためにも、私が心配をかけさせては…

『一旦、外の空気を吸ってみてはどう…?』

「そうだね…外に出てみるよ。」

ガラガラ…

宿の外を開けて、月の光が照らす道に足を踏み入れた。思っていたよりも道は明るく照らされていて、人の姿がはっきりと分かるくらいだった。

「綺麗な満月…」

まんまると大きく綺麗な満月がはっきりと街を照らしているのがすぐに分かった。

『落ち着いた?美子。』

「うん、段々落ち着いてきたよ。」

明日も妖怪退治屋としての仕事がある。落ち着いてきたところで今日は早く眠らないと。



    大正百鬼夜行~蝶月の印~

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