色褪せた小説

ずっと前に好きだった読みかけの小説

色褪せた装丁は年月が過ぎたこと


何も変わらずちっぽけな

僕はいつまでも箱庭という安寧で

外の世界を見ずにずっと縮こまってうずくまっていた


僕の手を引っ張ってくれる

人はどこにもいなくて

動き出すことさえもしなくて

今手にあるものだけを大切にしていた。


ずっと前から好きでした

告白してくる少女

その記憶は今では色褪せている


手に入れたものは成長してく体と

望んでもいない知識ばかり


笑いながら動かす笑顔のぎこちなさは

ごまかせなかった


僕の手を引っ張ってくれたのは

まだ小さな手だけど


その手にはもうすでに大きなものを抱えている。

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