少年の幸福

小さな空を見た

その空はこの世の空でない

しかしこの世のものが飛んでいる

その空の下で男の子は

いなくなった女の子を想い

声の限り叫んでいる


小さな海を見た

その海はこの世ではない

しかしこの世のものが泳いでいる

その海の上を男たちは

家族のいる自分の国を想い

一生懸命進んでいる


小さな大地を見た

その大地はこの世のものでない

しかしこの世のものが生きている

その大地の上で今日も生命が動き

変わり続ける


何も変わらないことを願った少年は

変わらないことを契約にこの世界を

手に入れたが

不変だったのは少年だけだった

何も変わらずにいた少年は

幸福だったのか

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