第129話 北高祭2日目 髪型
宮子は漫研に、先生は職員室に戻って部室には暫くの間、静かな時間が流れた。皆満足げにライブの余韻に浸った。あたしの撮った動画は
12時からの握手券販売では残りの握手券があっと言う間に完売した。
「凄いね、アイドルの握手会みたいだよ」
「今回は私が勝ちますよ、
お嬢は髪を結びツインテールになった。
「どうですか?」
『似合ってないっ』
「ななっ、皆で一斉に突っ込まなくても良いじゃないですかっ」
でもホントに似合ってないんだもん。
「あなたはポニーテールのほうが良いですね、こうして…」
剣谷さんはお嬢のツインテールをほどくとカバンの中からシックなサテンのリボンが付いたヘアクリップを取り出し手際良くポニーテールに変えた。
「ほら、清楚感をアピールしたほうが断然良いね」
これはホントに似合ってる。お嬢も手鏡を見ながら嬉しそうだ。
「お嬢!ラブ・アンド…」
「ピース!美咲さん、私のスマホでも撮ってください!」
「良いよ!」
30枚も撮らされた。ホントに嬉しそうだ。
「みこも髪型変えてみる?」
「みこって言うな、私はこのままで良いよ」
「でも違う髪型も見てみたい」
「そ、そうか?亮がどうしてもと言うのなら…ポニーテールは先を越されたからツインテールかな…」
まどろみさんがツインテールになった。
『似合ってないっ』
あたしたちはまた一斉に突っ込んだ。
「香風がツインテールが似合うのは童顔だからなんだ」
剣谷さんはそう言うとカバンから今度は派手目のリボンが付いたヘアクリップを取り出し、まどろみさんの髪を後ろでお団子にまとめた。
「大人っぽい顔立ちだから、思い切ってショートにしてもきっと似合うよ」
まどろみさんは手鏡を見て恥ずかしそうにした。
「こういうの初めてだ。亮、どうだ?」
「似合ってるよ、みこ」
「みこって言うな…美咲、私も写真を撮ってくれ」
今度は50枚も撮らされた。相当嬉しそうだ。
「美咲さんもどうですか?」
「あたしはまたの機会で良いよ」
「君は…」
剣谷さんはカバンからカチューシャを出した。
「これを着けるだけで雰囲気が変わると思うよ」
黒色の三つ編み状のカチューシャを着けてくれた。
「うわぁ美咲さん、すごく大人っぽく見えます」
「え?そうかな?」
あたしは手鏡を見た。うん、確かに大人っぽい。こんなの着けたこと無かったけどちょっと良いかも。
「お嬢、あたしのスマホで写真撮ってくれる?」
「はい、撮りますよ!」
70枚ほど撮ってもらった。
「皆気に入ったみたいだな。ヘアクリップにカチューシャ、君たちに差し上げるよ」
「え?良いんですか?!」
「今日なにかと迷惑もかけたし、お詫びのしるしということにしといてくれ」
「じゃあ、遠慮なくいただきます!」
「香風に初めてツインテールをしてやった時を思い出すよ…あ、そうだ、そろそろ香風のライブの方に行かなきゃ…いつか我々の地下ライブも見に来てくれ」
剣谷さんも帰っていった。人が減った静かな部室には寂しさが加わった。
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