第130話 北高祭2日目 コスプレ

 握手券があっと言う間に完売したので、握手会まで1時間以上の空き時間が出来た。一旦解散して自由行動ということになったから、あたしはお嬢と漫研を見に行った。


 途中で会った友達は、あたしがカチューシャをしているのを見て「似合ってる」「可愛い」と言ってくれる。今までオシャレとか興味が無かったから褒められるとくすぐったい気持ちになるけど、やっぱり嬉しい。


 お嬢もファンの人たちから「泉ちゃん、神」と褒めて称えられている。あたしだけ褒められてたら、ブラックお嬢が現れて面倒くさいことになるから良かった。


 漫研に着くと部員の人たちはコスプレをしていた。


「美咲さん、漫研の皆さん凄いですね。なんだか別世界です」

「うん凄いね、宮子どこかな…」


 宮子はうちの高校が舞台になったアニメ「涼宮○ルヒ」のコスプレをしていた。この高校への進学理由が「ここがハ○ヒの聖地だから」と言っていたからこのコスプレにはご満悦に違いない。


「あ、美咲とお嬢~…って、どうしたのそれ?」


 あたしたちの髪を見て驚いた顔をしている。


「剣谷さんにやってもらったの、似合う?」

「うん!美咲、普段からもっとオシャレしたほうが良いよ~、凄い可愛い!普段はかなり地味だもんね。お嬢も清楚感が増すね、似合ってる」

「えへへ、そうかな」


 小学校からずっと一緒の宮子に褒められるのが一番嬉しい。地味って少しディスられたような気もするけど。


「宮子は涼宮ハル○だね」

「そう!この学校でこのコスプレをするのが夢だったの!」

「そうだ、写真撮ってあげる。携帯使用許可証があるから堂々とスマホ使えるからね、はい、ラブ・アンド…」

「ピース!」

「私のスマホでも撮って~」


 90枚ほど撮らされた。


「あんた携帯使用許可証持ってるの?ねえねえ、私たちも撮って!」


 コスプレ部員さんたちが集まって来て100枚以上撮らされた。


「美咲さん、合奏同好会もライブの時はコスプレにしたいですね」

「え?うーん…あたしは撮影とかサポートだから、この制服のままで良いんだよね?」

「そうですね、私が目立てば良いので…美咲さんはそのままで!」

「じゃあ良いんじゃない。あとでまどろみさんに聞いてみよう」

「え?なになに?合奏同好会でもコスプレ出来るの?」


 宮子、そんなにコスプレしたいの?


「握手券の売上でウハウハなので、衣装を買えるかもしれません!」

「そうなんだ…」


 胸ポケットから生徒手帳を取り出しパラパラとページをり、うむ、と考え込む宮子。これは何か企んでる時の顔だ。


「漫研はイベントの時だけなんだけど、合奏同好会なら普段の活動でもコスプレ出来るよね。新しい同好会で上級生も居ないし私たちがルールブックだ~」


 私?宮子、まさかコスプレをしにうちの部室に入りびたるんじゃ無いでしょうね。

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