第55話 ゲリラライブですと!?

「生徒会や実行委員の許可が出なかった。生徒会長のやつめ、私に逆らうとは」


「理由はやっぱりスペースの問題ですか?」

「そうだ。演奏中に人垣が出来たら通行の妨げになるし安全確保も出来ないと言うんだ」


「まあ仕方ないですね。冷蔵庫の運び出しとか、俺、手伝いますよ」

「ん?なんで運び出すんだ?」


「…え?許可が出なかったから部室でライブになるんですよね?」

「いや…」


 真知子はニヤリとして言った。


「校内ゲリラライブを行う」

「ゲ、ゲリラライブ?!」


 皆、顔を見合わしスマホを取り出す。


〔さすがにマズいよな?〕


美咲

〔下手すれば停学くらいになるんじゃないの?〕


香風このか

〔面白そうじゃない〕

〔わたしは当日居ないけど〕


〔ゲリラってなんですか?非正規戦闘員?生徒会と戦うんですか?〕


〔ゲリラライブは事前告知なしで突然どこかに現れてやるライブだよ〕


〔じゃあ戦わないんですね〕


香風

〔武力は使わないけど生徒会や学校とやりあうかもね〕


美咲

〔それは嫌だなぁ〕

〔入学早々揉め事は起こしたくないよ〕


香風

〔入学早々じゃなかったら良いんだ〕


美咲

〔そんなこと言ってない〕


〔電子ピアノは重たいから突然ではなくてモタモタ現れることになりますよ〕


香風

〔現れる時より撤収のほうが重要よ〕

〔生徒会や先生が来たらすぐに逃げられるようにね〕

〔まどろみさんと2人で抱えて逃げると良いわよ〕

〔スタンドは美咲が持って全力ダッシュね〕


美咲

〔なんでライブやる前提になってんのよ〕


香風

〔ライブは注目を集めてなんぼの世界よ〕


まどろみ子

〔おはよう〕

〔スマホが振動しまくりで目が覚めた〕

〔今すぐ結論は出さずに検討しよう〕

〔保留と言うことでいいか?〕


一同

〔部長がそう言うなら、わかった〕


「話はまとまったか?」


 宮子とコーヒーを飲みながら雑談をしていた真知子先生はこちらを向き聞いてきた。宮子、うちの部活に馴染みすぎ。


「検討します。保留でお願いします」

「うむ、全ての責は私が負う。お前たちは楽しむことを考えろ。困ったことがあったらすぐに相談に来たまえ」


 真知子先生は検討するという返事に気を良くして満足気に職員室に戻った。


「まどろみさんはどうしたいの?」

「私はゲリラライブ派だ。部室や体育館でやった場合、興味のある人しか見に来ないが、ゲリラライブだと野次馬的な人も興味を示してくれる。せっかくやるんだから色んな人に興味を持って欲しい。香風と同じような意見だ」

「なるほどだね…」

「ただし、先生は「全ての責は私が負う」と言っていたが、やる以上は部員全員で責を負う。それを踏まえて考えてくれ。結論は連休明けに出そう」

『かしこまりっ!』

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