第14話 よく考えよう名前は大事だよ

「生徒会から回答が来た」


「どうだった?承認された?」

「活動内容のうち、ネットを通じて世間に発表するという部分がダメだと言われた。不特定多数に学校名や生徒の顔をさらすような安全性が保証されない活動を学校は公認しないだろうからこの部分は修正してください、とのことだ」


「あたしが動画や写真を撮るていが無くなるじゃない、困ったなあ」

「大丈夫、美咲はボーカルというていにしとこう。ていだからそれで良い?」

「うん、良いよ、でも万が一でも歌わないからね」


 微睡びすいは申請書を修正しながら


「承認されたら部活紹介用の冊子に正式名称を載せるから金曜までに同好会名を決めてくれ、とも言われた」

「名前かあ、亮はなんかアイデアある?」

「ギターピアノ部で良いんじゃないか」

「格好悪いです、それになんでギターが先なんですか」


 即座に泉に却下された。


「音コン入賞者のピアノ演奏(ギターを添えて)部にしましょう」

「なんで俺が()書きで添え物なんだよっ、却下だ」

「ギターを添えるんならボーカルも添えてね、歌わないけど」

「じゃあ野球部私設応援団にしましょう」

「野球の応援にはラッパと太鼓が必須アイテムだ!」

「お嬢、多分それは吹奏楽部の領域だよ」

「大会以外の練習試合なら吹奏楽部は来ませんよっ、それにお忘れですか、これはていですよ」

「本当に応援に行くことになりそうだから怖いんだよ」


 ややこしくなってきた。まとまる気配が無い。


「まどろみさんはアイデア無い?」

「    」

『寝てるー』


 いつのまにか微睡びすいは机に突っ伏して寝ていた。


「ま、まあていだから適当でいいよね」

「そ、そうですね」

「なんか熱くなってしまった、すまん」

「実態はみんな別のことをするから、ちょっとコンセプトは違うけど大学によくあるシーズンスポーツ同好会的な名前でいいんじゃない」

ていを現わす的な名称ですね」

「金曜までならまだ考える時間あるし各自考えて持ち寄ることにしよう」

「そうだね、そして投票で決めよう」

「それ、良いですね!」

「投票で決めたらみんな自分のに入れるから決まらんだろうが」


 結局、微睡ぶちょうを除く3人が名称を持ち寄り、投票は全員ですることになった。


 翌日。


①打弦楽器同好会

②楽器撮影同好会

③楽器自主練同好会


 微睡びすいは黒板に箇条書きにして言った。


「見事に漢字が並んだな…実は私も考えてきたから書かせてもらうよ」


④合奏同好会


『お~、なんか良い』

「満場一致だな、実際に合奏同好会がある学校もあるから無難だろう。じゃあ今から修正した申請書に同好会名も書き込んで生徒会に出してくるよ。私はそのまま帰って寝るから今日は解散」


 各自適当に過ごすための同好会なのに、真面目に名称を考えてたら愛着が出てきてしまったよ。昼寝ばかりしてるわけにもいかなくなるかもな。

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