第8話 同好会を作ろう その1
次の日、まどろみさんは自己紹介での宣言通りQRコードを表示させたまま寝ていました。
「おはよ~お嬢、昨日まどろみさんとメッセージできた?」
「おはようございます美咲さん、メッセージできましたよ」
「そっか~、あたしはだめだったー、朝見たら〔すまない、寝てしまった〕と返信きてたけどね」
「私とのトークの最後で寝落ちしてましたから」
「そうなんだ、それでどんな話したの?」
「同好会を作るって言ってました」
「同好会?」
昨日と同じくカシャカシャと写真を撮っている美咲さんに、私は昨日のまどろみさんとのやり取りを話しました。
「なるほど、入れそうな部活が無いから作るわけだ。面白そうだね。お嬢はピアノうまいんだ」
「そうなんです!褒めてください称えてください!」
「すごいすごーい」
頭を撫でながら言ってくれましたが、褒められてる気がしません。
「外野フライを打たれ、3塁にいる同点のランナーがタッチアップ、でも強肩の外野手が見事なバックホーム、クロスプレーで判定はアウトっ、くらい凄いんですよ」
「野球好きなんだ、野球はよくわからないけど、それは凄そうだね~」
「そうです、凄いんですっ」
「でもそれって、3塁ランナー側のチームにしてみたら、ぜんぜん凄くないんじゃないの?」
「はうっ」
鋭いツッコミを入れられてしまいました。
「寝てても周りの会話が記憶されるなら、まどろみさんの近くで喋ろうよ。きっとそのほうがしっかり記憶されて、まどろみさん起きたときに話が続けやすいよ」
まどろみさんの隣の席は、昨日勝手に友達第2号に認定した背の高い男子です。まだ喋ったことは無いですが
美咲さんは、寝ているまどろみさんと私とスリーショットでラブ・アンド・ピースと写真を撮りながら、
「お嬢はピアノと部活を両立させたいから、同好会参加すんの?」
「そうですね、ピアノ部というのも無いし一石二鳥かなと思います。でもまだ活動内容がピアノと決まった訳じゃないですよ」
「だったらあたしも同好会に参加できたらな~。写真部に興味あるんだけど本格的過ぎると思ってね。あたしの写真は周囲の記録だから、スマホのカメラで気軽に撮りたいんだ」
「あ、それ良いですね、ピアノスマホカメラ昼寝同好会!なんだか楽しそうです」
「だね!ネーミングは再考しなきゃだけどまどろみさんとも相談しながら決めよう」
朝のSHR(ショートホームルーム)、担任が入ってきました。
「スマホの電源切って鞄の中にしまえー、音が鳴ったら没収なー、さっさと座れー、ゲーム中のヤツは1分待ってやるから終了処理をしろー、今日は入学前に出ていた課題を集めるぞー、出来てないヤツは1分待ってやるから終わらせろー」
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