../書記:03月02日

 ついに彼の電脳化に成功した。


 間違いなく、これは研究史上最大の一歩だ。

 彼は夢野角に驚くほどなじんだ。インナーユニバースに溶け込んだ彼は、これまで以上に多くを我々に授けてくれた。魔術のみならず、これからの研究に必要な機材や資料など、専門家の私以上に詳しく知っていた。

 彼は次々に知識を吸収する。文化、文明、文学、芸術、化学、物理学、そして人間について。

 もうこちらから教えることは何一つなくなっていた。

 彼は一体何をしようとしているのか?

 その行く末に一抹の不安を抱くも、今はまだ、好奇心が勝る。

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