恋は手に入らない

れい

第1話

 どうしても、あなたが欲しかった。

 あなたの、心が欲しかった。


 ー


 攻略結婚なんて貴族社会ではよくある話。

 私、カリンは男爵。

 相手のルーベリオ様は子爵。

 どこにでもいる一人娘の私に婿入りしてくる、よくある攻略結婚。

 話してて不快ではない相手との結婚で気は楽だった筈なのだ。この人となら恋もできるかもしれないとも思った。

 だがそれは、叶うことはないという現実とともに突きつけられる。


 ルーベリオ様には、恋人がいたという。

 なぜそんなことを結婚した初夜の事後にいうのか。この人は正気なのかと瞳を覗き込む。

 そこには、ひどく濁って光なんてない翠の目があった。

 その瞳や声、視線はひどく私を悔しくさせた。私と結婚したのにそれでも思われている彼女が、ひどく羨ましくなった。


 かける言葉も思い当たらず、私は黙り込む。

 なんと言えばいいのか。「大変でした」?「お辛いでしょうに」?誰のせいで彼らを引き裂いたか考えれば、そんなことは口が裂けても言えない。

 言えるわけがない。

 もし自分が彼の立場で、そんな言葉を言われたらと考えるだけで悪寒が走った。


 神はどうも私に意地悪なようだ。

 恋愛は出来そうにありません。神さま。

 こんな残酷な運命知りたくなかったですわ。1人ため息をこぼした。


 私は恋愛を諦めることにした。

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