どういうわけなんだろう

野口マッハ剛(ごう)

母と父

 お母さんとお父さんは離婚していた。

 自分が幼い時に。

 自分はお母さんの元で育った。


 それから、大人になった自分。

 お母さんとは別に暮らしている。

 自分は一週間のうちに5日を働いている。


 今日と明日は仕事が休みなので、久しぶりにお母さんの家に遊びに行く。

 お母さん、元気にしているかなぁ?


 お母さんの家で久しぶりの会話。

 あー、なんだか落ち着くなぁ。


 そうして夜になったので、自分はシャワーを浴びようと風呂場に入る。

 すると、床になぜか丸まった髪の毛の束が。

 お母さんのかなぁ?

 自分は大して気にもせずにシャワーを浴びた。


 シャワーを浴び終えた自分はお母さんからこう言われた。

「これって、あんたの髪の毛?」

 うん? 違うけど? 自分は違うとお母さんに伝えた。

「あんた、私のシャンプーとリンスを使った? けっこう減っているけれど?」

 自分は自分のを持ってきているから使っていない。これも違うと答えた。

 それから、髪の毛の束をお母さんと二人で見た。

 そもそも、髪の毛の長さが違う。髪の太さも。

 なんだか気味が悪いよなぁ?


 それから、また仕事に行った自分。

 仕事中に電話がかかってくる。

 見慣れない電話番号。

 気味が悪いので、出なかった。

 数日はかかってきた。

 でも、自分は出なかった。


 ある日、自転車のカギをなくしていることに気付いた自分。

 置いてあったはずの場所にない。

 いくら部屋を探してもない。

 今日の用事は歩いて行った。


 帰ってから、元の場所に自転車のカギがある。

 あれ、おかしいなぁ?

 テーブルの方を見る。

 メモの切れはしだ。

 赤い文字で、助けて、と書いてあった。

 自分はゾクッとした。

 いったい、誰が?

 何気なく自分は振り返った。


 そこには、やせ細った父の顔だけが浮いていた。


 自分は気を失った。


終わり

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