トレーラー
最後の降ろし場で確認したところ、トレーラーの左のウインカーが割れている。
積み込みを終え、出発する時には割れていなかった。
ぶつかったという記憶はないし、走行中は一度もバックをしていない。クラクションを鳴らされたりもしていない。
どうして割れたのだろう?
割れただけではなく、台車のウインカーも少し押し込まれているし、僅かながらではあるけれど、バンパーと反射板に小さな傷がある。
いつも走る道は片側二車線と三車線の道が多いのだけれど、最後に少しだけ、片側一車線のところがある。でも、バックはしていないし、ぶつかった、ぶつけられた記憶もない。
片側一車線同士の交差点が一つだけあり、ここを曲がるのは、かなりギリギリである。もう何年もやっているから、今さらに感じることもないけれど、思い返してみれば結構ギリギリなのだ。
私の前にこの仕事をしていた前任者は、この交差点で左後ろのタイヤを歩道に乗り上げ、タイヤをパンクさせてしまった。今見てもホイールに、その跡がうかがえる。
これは仮説域を出ないのではあるが、おそらくこんな感じになったのかもしれないと思っている。
この交差点は、国道でもなく、走っているのは乗用車が殆ど。乗用車の中に、大きなトレーラーが混じって走っているイメージだ。乗用車は、大型車に気を遣ってくれるありがたい人がもちろんいる反面、中には大きなトレーラーを乗用車と同じように見ている人もいる。
大型トレーラーが左折する時は、それなりの安全確保と確認が必要なことから、当然、交差点進入のスピードは遅くなる。後ろの乗用車は、車間をあけてくれる人がいたり、動きが乗用車と比べれば遅いことから、車間が詰まってしまう人がいたりする。
この車線は、左折と直進の車線なので、直進するために私の後ろを走っている人もいる。私の車が左折するのに減速した際に、結構後ろにくっついてしまっている乗用車も多いと思う。
トレーラーが左折を開始して、一番角度がついてしまった際に、走るラインによっては若干、左後ろの部分が回転して、若干戻るような挙動になる場合がある。
この時、目一杯トレーラーに接近している乗用車がいた場合、今回のような状態になってしまうかもしれない。
当然、相手もぶつかっているはずだ。
荷物を降ろし終え、帰り道に現場と思われた場所をゆっくりと通過し、現場検証をしてみたが、欠けてしまったウインカーの破片などを発見することはできなかった。乗用車の物もなかった。もしかして違うのかもしれない。
当初は私が悪いのではないとの思いから、会社に報告する事もないと思っていたが、やはり精神的に気持ちが悪いので、帰社後にきちんと報告して、当該箇所を工場で修理してもらった。このような時、工場が自分の会社にあるのはとてもいい。
確定した訳ではないけれど、こんな風に、いくら安全第一で走っていたところで、今回のような事例は、相手が接近してきてしまえば防ぐことはできない。
かなり前からウインカーを出し、左折警告のチャイムを鳴らし、交差点にはゆっくりと進入し、前方と左の後ろと右の肩(トレーラーと呼ばれる台車の右前の部分)の安全を確認しながら、いつも曲がっている。これだけを見ながらハンドル操作するのが精一杯だったが、これからはバックカメラに写っている乗用車が接近過多になっていないのかを確認する、などまでする必要が、果たしてあるのだろうか?こんな事どこでも言われていないし、バックカメラなど、本来はバックにギアが入ったときだけ見る道具であり、このような通常走行時の安全確認に使う物ではない。
今回のように車が壊れてしまうと、私は一時的ではあるけれど、軽いショック状態になってしまう。今回も久しぶりにショック状態だったが、修理をしてもらって少しよくなった。
こんな仕事嫌だと思う瞬間である。
早く引退して、机の上でできる仕事をしたいと再び思ってしまった、今回の事案だった。
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