すき家で週末

 カミサンがすき家に行こうと言うので、土曜日一緒にでかけた。


 店で食べる牛丼なんて、私の頭の中では吉野家しかない。うまい、安い、早い、という、吉野家の牛丼が牛丼だと思っている。


 屋久島に行ったら牛丼のお店がなかったので寂しかったが、これもまた離島の運命で仕方ないのだと諦めていた。とある民宿のマスターが通販で吉野家の具を買ったときには、余裕がありお金があってうらやましいなと心から思った。


 結婚するまでも、結婚してからも、牛丼を女性と食べるなどとは考えてもみなかった。牛丼はカウンター席に座り、「大盛り、卵、味噌汁」などと注文し、紅しょうがと辛くない薬味をごそごそと大量山盛りにふりかけた後さっさと食べ、会計は残った器を見ながら店員さんが計算してくれる通りに財布から現金を支払うものだというのが私の牛丼屋さんの姿である。


 カミサンは各種YouTuberの影響を受けている。美容整形で有名な高須クリニックの二代目、高須幹弥さんはかなり前からYouTubeをしているようで、カミサンは最近、この方のYouTubeをよく見ている。


 この中で、すき家が「野菜もたっぷりでおいしい」と紹介されており、さすがにカミサン一人では行けないとのことで、私に声がかかった。


 土曜日の昼前、店の中は空いていた。カミサンはスマホを取り出し、これで注文できるんだよと、何やらピコピコとはじめた。カミサンに注文を出し、カミサンがスマホで注文を送り、決済済みと書かれたレシートと共に、牛丼ベースの各種料理が調理されて机に運ばれてきた。


 牛丼も今は変化を遂げている。スパイシーなトマトとか、チーズとか、揚げたにんにくとか、いろいろなものがトッピングで選べるようになっている。充実しているのはうれしいが、これを選んで店員さんに注文するのは、今の私には至難の業だろう。


 それが自分のスマホでできるというのは、かなり画期的である。


 味は申し分なく、二人で満足して店を出た。


 その次は、津波でやられてしまった仙台荒浜に新しく建築された、アクアイグニス仙台という施設に向かった。


 パン屋さん、イタリアンのレストラン、カフェ、等、超々こだわりのお店が出店していて、それに加えて、温泉施設と地元の野菜販売などがある。


 こだわりが強いだけあって、いいと感じる人と、悪いと感じる人と、両極端ではないかな、という感じの施設だった。専門店の価格はかなり高い。もちろんそれなりの商品ではあるのだけれど、菓子パンが一つ300円以上というような、そんなレベルのお店が並んでいる。


 地元野菜の販売はそんな事はなく、いい物が販売されていたので、ブロッコリーなどを買い、その後、東北初上陸という、猿田彦珈琲というカフェで珈琲を楽しんで、おかわりももらって、帰ってきた。ここは一杯ずつ、オーダー毎に豆を挽いて珈琲を淹れてくれるお店で、これはこれで楽しかった。


 週末二人で休みになるのが久しぶりだったので、楽しかった。本当に病気が良くなってよかったな、健康第一だな、とつくづく思った次第である。


 



  

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