デジタル一眼レフカメラ

 そろそろ荷物を整理しなければと、少しずつ荷物を開封することにした。


 開封したなら状態を確認して、仕入れ台帳に記入するなどやることがあるのだが、これを考えているといつまでも手が付かないので、とりあえず今必要な物を開封することにした。


 そもそもカメラを修理して販売するとか思い始めたきっかけは、インスタグラムの広告にニコンのデジタル一眼レフカメラが出てきて、これを欲しいと思ったからである。


 要するに、今のスマートフォンの写真よりも、もう少し上手な写真を撮ってみたいという願望が、私の中にあるのだ。


 写真は、とりあえず細かいところは抜きにして、好きなのである。


 屋久島にはじめて上陸した際にも一眼レフのフィルムカメラを持って行き、セルフタイマーで写真を撮ったりしていた。フィルム代、現像代などが結構かかったが、これはこれで面白く、実家には古いカメラや、カミサンに見せたら何を言われるかわからないような写真とネガが山のようにある。


 時代はデジタルになり、友人が某メーカーにいることもあって、私は気が付けばすっかりコンデジユーザーになっていた。商品の写真などはライティングや背景を考えながらこれで撮ると、そこそこ使える物が撮れるので、何ら問題はなかった。


 今回、放射能を出すと言われているような、少し古いレンズを掃除して販売してみようと思っていた。レンズを分解して組み立てたら、必然的にチェックが必要になるので、このレンズに合うカメラが必要だった。


 レンズとカメラを接合するネジを変換するアダプターを取り付けることで、今の時代のデジタル一眼レフにも装着が可能だと知り、いろいろ調べて買いまくった。


 ということで、ソニーのNEX-3というカメラがあったので、数千円で購入してあった。これはジャンク品で安かったのだが、バッテリーも充電器もなく、これらを別々に揃えると、結構な値段になってしまった。


 昨日夜、いくつかある箱の中からカメラとレンズとアダプターとバッテリーと充電器の入った物を探し出し、カメラを組み立てた。デジタル一眼レフのカメラがきちんと出来上がったのである。


 しかし、シャッターが切れないのでどうしたものかと思って調べてみると、この使い方だとカメラがレンズを認識していないので、カメラ側で、レンズがなくてもシャッターを切ることができる設定をしなければならないようだった。


 この設定をすると、デジタル一眼レフカメラが作動した。


 レンズには電気が通っていないので、露出やピントは完全マニュアルだ。


 今まで軽くて小さなコンデジばかりを使っていたので、手にずっしりと来るカメラとレンズの感触が新鮮だった。かつて使っていたこの重さのカメラはフィルムだったので、何を撮影するにもフィルムと現像のお金を考えなければならなかったが、今の時代はデジタルなので、こんな事を考える必要はない。


 早速、机の上にある小さな翡翠の置物を撮ってみる。


 上手くはないが、背景のボケている写真を撮ることができた。


 やっぱりマニュアルは面白い。


 でも、露出の加減がよくわからないので、いろいろと試しながらマスターせねばと思い、昨日は床に就いた。


 明けて今朝、やっぱり写真が撮りたかったのだろう、本能が刺激されたのか少し早く起き、庭に咲いているいろいろな花を撮影してみた。露出もいろいろと変えながらやってみたが、構図を考えたり、カメラの重さを感じながら露出を設定したりピントを合わせたりする事が、とても面白く感じた。


 久しぶりに、これは私に合っているのだろうな、と思った。心から楽しいと思えることに、久しぶりに出会えたなという、心の高揚を覚えた。


 ひょんな事から足を踏み入れることになったカメラの世界。早速いろいろと撮影して、願わくば小遣い稼ぎに繋がらないかと、これまた不憫なことを考えてしまうのだが、背景ボケの写真を撮影するスキルが身につけば、ちょっとくらいなら行けそうな気がしている。


 甘いのはわかっているけれど、このように考えるだけでも、久しぶりに楽しいのである。



 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る