接ぎ木

 今年も家庭菜園をやろうと思っている。


 毎年作るものは同じで、カミサンの料理のメニューとスーパーでの販売価格などを考えて、トマトとナスとあと少し、オクラなどを作っている。


 かつてはきゅうりやいんげんなども栽培していたが、これらのつる性植物は突然大きくなり、手入れを怠るととんでもない大きさになってしまったりするし、きゅうりなどはスーパーで安く売っている事もあり、今はやめている。


 トマトもナスも連作ができないという事は知っていた。数年前、苗代をケチって自分で種を蒔いてみたところ、発芽はするものの、その後は全く育たなかった。土地の状態や肥料が悪かったのかとも思ったが、これが連作障害だということは、少ししてわかった。


 連作障害を防止するために、接ぎ木の苗を使うといいと知ったのは数年前。それからは調子よく毎年収穫ができている。しかし何を思ったか今年、この、ちょっとだけ値の張る接ぎ木代をケチって、自分で接ぎ木をしてみようということになった。


 今は農家のプロでさえも、接ぎ木の苗は自分で育てることなく、苗屋さんから買っているという。でも、一度決めたら止まらない。接ぎ木を作るための準備をはじめた。


 トマトとナスの種、それぞれの台木の種、発芽させるための道具、継いだ箇所を固定するプラスチック、接ぎ木後の苗を管理するための道具、あれやこれやを買い揃えたら、高い接ぎ木代の数倍の経費がかかってしまった。これを本末転倒と言わず何という、と言いたいところだが、はじめてしまったのだから仕方がない。来年も再来年もできれば元が取れるし、新しいことに取り組むことに意義があるのだ。


 いろいろと買い揃えた道具が今日の夜には全て揃う予定だ。早速種を蒔いてみようと思うのだが、これまたどうなることやらである。


 幸いな事に、今の時代はYouTubeなるもので、苗屋さんが接ぎ木の苗を作っている動画なんかもある。驚きだが、大変参考になる。


 畑も今年は気合いが入っており、オーガニックの腐葉土や鶏ふんをはじめ、先日はメルカリで米ぬかと、もみ殻くん炭なども購入し、すき込んでみた。石灰も入れた。これまた勢い余って電気かエンジンの耕うん機があったら面白いんだろうなと思ったものの、たたみ数畳ほどのねこの額レベルの畑は人力で十分だと思い直し、老いかけてきた身体にムチを打つように鍬を振っている。なかなかいい運動になる。


 ということで、今年は苗にも土にも気合いが入っている訳なのであるが、こればかりは育ててみなければわからない。虫も来るだろうし、台風が来て吹っ飛ばされるかもしれない。


 それも含めて、今シーズンも家庭菜園を楽しんでいこうと思う。


 化学肥料は入れていない、完全オーガニックが売りなのだ。



 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る