秘密
もうこの先の人生も長くないので告白してしまうと、若い頃、とある宗教の方達と過ごしていた時期があった。
きっかけは父の妹がその団体におり、私に布教をしてきたことにはじまる。
団体名は控えるが、輸血をしないことで有名な、カタカナの「エ」ではじまり、漢字の「人」でおわる団体である。
今は繋がりもないし、集会にも参加するなどはしていないが、彼らの教えは納得できる部分があると今でも思っている。
人はサルから進化したという説があるけれど、私はサルが進化したというよりも、誰かによって創造されたと考える方が理にかなっているのではないかと真剣に思っている。
この地球だって、自然にできたという説が一般的だけれど、太陽との距離や微妙に地軸が傾くことにより変化をもたらす自然などの状況は、偶然にできたものと思うには、完成度が高すぎる。
創り主を仮定した方が、私は納得できたのである。今でもそれは思っている。
その、地球と人を創った人がおり、その取り扱い説明書として聖書という本が書かれているのですよ、だから私達は説明書通り、聖書の書かれている通りに考えながら生きて行きましょう、というのが彼らの教えだ。
具体的に書かれているわけではないが、その団体の聖書の解釈は、第一次世界大戦が始まった1914年以降が「終わりの時代」とされ、この「終わりの時代」は一世代の内に滅びる、すなわち地球が滅亡すると言われていた。この終わりを生き残るために、この教えを世界の人たちに伝える活動をしましょう、というような内容だった。
伝えた人は、この時代を生き抜くことができて、やがてやって来る地上の楽園で、永遠に生きることができますよ、と言われていた。
途中までは今でも納得しているが、最期の一文は今振り返ってみると、ちょっとである。
終わりの時代には、世界各地で地震が起き、様々な天災が起き、人々が荒廃し、暴力や薬が横行するなど、難しい時代になると言われていた。まさしくその通りである。
そして今、とんでもない事が起こってしまっている。一つ間違えれば核戦争になって、人類が滅亡してしまうという最悪の可能性を、誰が否定できるだろう。
歴史を紐解くなら、かつて日本の江戸時代は250年以上も続いていた。物やインフラなどは今と比べれば雲泥の差があったのだろうが、人々はそれが当たり前だと思いながら幸せに、安定した時代を暮らしていた。
それが近年はどうだろう。
私が育ってきた世代だけを見ても、モータリゼーションをはじめ、家電や上下水道などのインフラが爆発的に普及し、携帯電話なるものが発明されスマホへと発達し、インターネットで世界と繋がり、人々は簡単に世界をまたにかけることが出来るようになった反面、こんな事が起こってしまっている。
頼むから、最悪のシナリオだけは、避けてもらいたい。
今更ながら、かみさま、よろしくお願いします。
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