スマートウォッチもどき

 中国の通販で、スマートウォッチもどきのブレスレットがあったので買ってみた。


 価格は500円。


 昨日無事に玄関先に置き配されており、早速開封する。一応その形をしているけれど、英語と中国語しか書いていないので、あまりよくわからない。


 そもそも何ができるのかを確認する前に、500円で楽しめるならいいな、と、好奇心で買ったものだから、商品内容さえあまりよくわかっていない。


 説明書にはQRコードがあって、アプリと連携できるらしい。アプリストアの口コミを見てみると、日本のアプリでは殆ど見られないような、星一つのオンパレード。ネガティブなものばかりで、なかなかの中国ぶりである。


 そもそも日本人は完璧を求めすぎていて、いろいろなことに細かすぎる。先日届いたフライパンだって、実は小さな穴が空いていて、とある日本人はこれにクレームをつけて返品していたが、こんなの製造過程で生じてしまうものだから仕方ない。私は返品などせず、そのまま使っている。


 こんな私だから、この製品だって何だかわからなくても楽しい。


 充電して、ボタンを押してみたら、小さな画面の中に様々な情報が表示されている。主に健康系の、歩数、消費カロリー、心拍数、血圧、天気、などがわかるスマートブレスレットのようだ。


 一つだけボタンがあり、これを押す毎に画面が変わっていく。長押しするとその内容を表示する画面になる。日本人から見ればインチキなアプリと連動させれば、いろいろと健康管理ができるのだ。


 これが500円なのである。


 アップルウォッチはといえば、メルカリだって500円では買えないだろう。


 同級生の友人が世界的に有名な、とある時計メーカーに勤めていて、しょっちゅう海外へも行っているようなのだが、時計はめちゃくちゃ儲かるのだという。かつてはデジカメを売っていたのだが、時代の流れでその会社はデジカメから撤退し、今は時計が主力製品となっている。

 

 今回のこの商品、商品自体は有名メーカーの物とは違うにせよ、中国から直輸入するなら、販売価格が500円でも製造元と販売店には利益が出るということだ。世界を圧巻している有名メーカーは、こんな感じの商品をブランド化して、数万円で売っているのだから、それはもうウハウハだろう。


 もう日本は、ものづくりで中国には敵わなくなってしまった。


 一部の富裕層向けの高級な商品や、伝統的な技術を駆使した製品以外は、中国には敵わない。今使っているこのポメラだって、裏を見れば中国製と書いてある。


 私達日本人は完璧を求める民族だが、もっと適当になれるなら、この中国製品を大いに楽しむことができる。


 わざわざブランドを選び、高いお金を出してきちんとしたお店から買わなくたって、充分に商品を楽しむことができる。


 この、中国製品を本能的に嫌がってしまう、細かくて、完璧を求めすぎる私達日本人が世界に対して弱くなっているのは、こんな所に原因があるんじゃないかと、今回の買い物から一人考えてみた次第である。


 グローバルにアプローチが出来ない今こそ、自らがグローバル化するチャンスだと思う。


 以上、インチキマーケッターの意見でした。



 

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