尿素水

 私達の生活は、物流ありきで成り立っている。


 便利になった通販は、トラックの配達があってこそ。


 コンビニにいつでも何でも商品が揃っているのも、トラックが分単位での配送業務を行っているからこそである。


 この物流が脅かされるような状況が発生している。


 大きなトラックは燃料である軽油の他に、尿素水を使っている。軽油は燃焼してエネルギーを発生させる課程で様々な有害物質を出してしまうが、この尿素水で独自に処理をすることで、環境基準をクリアしている。


 クロネコヤマトが使っているような小さなトラックにはこの装置は付いていないが、比較的大きなトラックには、この装置がついている。もちろん私が乗っている大型トラックにもついており、定期的に尿素水、業界内ではAdBlue、アドブルーと呼ばれる尿素水を、トラックの専用のタンクに補給しながら、仕事をしている。


 この尿素水が品薄になってしまった。

 コロナの影響らしいが、一部では高値での取引などがされている。


 これがなくなると、トラックが動かせなくなってしまう。

 この尿素水がなくなると、エンジンはかからない。


 トラックが動かなくなってしまえば、現在の便利な生活は立ちゆかなくなる。


 毎日お世話になっているコンビニに行っても、何もないという状況になる。


 スーパーに行っても、物がないという状況になる。


 これはもう自然災害の比ではなく、都市滅亡ではないか。


 全くなくなってしまえばの話だが、どうやら状況は一時的なものといわれている。しばらくすれば回復するらしいのでそれほど慌てることもないようだが、本当にコロナ関連では給湯器の部品然りで、私達の生活に様々な影響が出てきてしまっている。


 日本は島国で、多くの物資を海外からの製品輸入に頼っている。

 また、様々な物資は物流のトラックによって供給されている。


 これは当たり前の日常ではあるけれど、そのシステムは一つ何かが間違ってしまえば、いとも簡単に崩壊しかねない、かなりの脆弱性を伴っている。


 物流の端くれを担う一因として、少しでも皆様の頭に入れておいていただけたなら幸いである。


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