カメルーン

 日本を紹介する、海外向けのサイトを持っている。


 自分なりに、海外の方が喜びそうな事柄を適当な英語で書き、願わくば自分のeBayのページから何か買って下さいね、というコンセプトではじめた。


 運営は適当だったので、成果など上がるはずもなく、数年間放置が続いていた。


 最近いろいろと将来の事などを考えていたところ、やはり自分が得意なのは書くことと、なかなか普通の方が気が付くことの出来ない日本のいい所を見つける事だ、という事になって、このサイトから何か収益を発生させる仕組みはないものかと再び考えはじめていた。


 そうなるとやはり、グーグル様のご機嫌取りから始めねばならない。


 グーグル様がおっしゃるように、サイトの見栄えを良くし、ユーザーに快適にサイトを閲覧してもらうべく、新しいテンプレートを導入した。今はワードプレスというソフトがあって、これは結構簡単にできる。


 最も重要なのがコンテンツの充実だ。他の所からパクッて来たりしてはいけない。お客様のためになるコンテンツを、ある程度書き続けねばならない。グーグルは独自の指標で、AIを使って、コンテンツが何たるかを判断している。その中で、オリジナリティーと、読者の高い満足度が求められている。


 私の書く英語は適当だし、どこからコピーしてきたものでもないし、オリジナリティーはあると思うので、もしかすると勝機があるのではないか、などと、前向きに考えて臨んでいるが、そう上手くは行かない。


 何でこんな事をしているのかと言えば、収益化を考える上で、まず第一に思い浮かぶのが、グーグルの提供する広告からの収入だからだ。この広告を貼る為にはサイトの審査があって、その審査に合格しなければ広告を貼ることができない。私が始めた15年位前とはかなり情勢が変わっていて、サイトごとに審査を通過させる必要がある。以前はアカウントさえ作れば広告を貼ることができたが、今はサイトごとにグーグルの審査を通過させねばならない。


 数ページのコンテンツを追加し、早速サイトの審査をお願いしてみたところ、やはりそう簡単に行くものではなかった。今まで二回不合格をもらっている。

 

 この審査の条件の中に、運営者と連絡を取る仕組みを導入しましょう、という条件があるので連絡フォームを設置しているのだが、ここから毎日ダイレクトメールが来るようになってしまった。


 大抵は無視するレベルのものだが、先日はアフリカのカメルーンから問い合わせがあった。


 「あなたのビジネスに興味があります。カメルーンに何か商品を大量に手配してもらうことができるようでしたら、連絡を下さい」


 このような内容の問い合わせだった。


 私は個人輸出のスキルもないし、今は時間もないので、昨日お断りのメールを書いたのだが、こんなしがない一個人の私にでも、日本にいるというだけで、国レベルからの問い合わせがある。インターネットには限りない可能性と強い力があることを改めて感じることができる。


 世界から見るなら、日本人であるだけでブランドなのだよ、などと、輸出入の講座か何かで教わったことがあるが、それはあながち嘘ではない。


 もう私は引退間近なので、今から新しい仕事を起こして取り組むパワーがないのだけれど、世界には、まだまだいろいろなビジネスが転がっている。やりようによっちゃぁ儲かるんだろうけれど、今の仕事を辞めてまで鞍替えする元気はないのであった。


 とりあえず、もうちょっと英語の勉強だけしてみよう。英語とメディア運営ができれば、老後が食いつなげるかも知れない。


 

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