接種券

 会社から帰ると、ワクチンの接種券が届いていた。


 義父がポストから持ってきたようで、カミサンの分と私の分二通が、玄関の靴箱の上に放り投げてあった。


 早速開封すると、私はまだ予約を取ることができないと書いてあった。


 ほぼ同じ時間に帰ってきたカミサンは、昨年病気をした事もあり、今から予約ができるとのこと。


 着替えたり、洗濯物を取り込んだり、買い物してきた物を片付けたりした後、早速スマホに向かった。


 やはり人間の心理なのだろうか。接種券が届いたなら、一刻も早く予約をして、ワクチン接種を終わらせてしまいたいと思ってしまう。カミサンは躍起になってあっちこっちのサイトを見ているが、どうにもシステムが上手く稼働していないのか、不安定だ。


 例えば、大規模接種会場は土日だけで、×が表示されていたのに、再度読み込むと平日にも×が付いていたり、その次には何もなくなっていたり、よくわからない状況が続いた。


 カミサンはイライラしながら格闘していたが、大規模接種をあきらめ、地元の開業医での接種を探し始めた。私達の市町村では、一部地元の開業医でも接種ができる。


 彼女は一覧表にあった耳鼻科の診察券を持っており、そこのホームページにアクセスすると、少し重かったものの繋がったようだった。ここの耳鼻科はいつも混雑しており、通常の診療でもネット予約が必須となっている。カミサンにとっては駐車場が少ないのがネックだったが、今回のこともあるのか、他に広い第二駐車場を借りて使えるようになったとのことで、安心していた。


 診察券の番号を入力すると名前が表示された。空きが表示されていて、自分が休みの日を探し、申し込みをすると、すんなりと取ることができた。二回目は、三週間後の同じ曜日で、自動的に取られています、とのことだった。


 とりあえず、病気をしたカミサンの予約が取れて良かった。


 しかし、私が行こうとしている大規模接種に関しては、この先も不安が残る。政府が一時的に中止を発表したのとちょうど被ってしまい、この先がどうなるのか全くもってわからない。


 日本人が未だかつて経験したことのない、ワクチンの大規模接種なので、それは仕方ないという見方もできるかもしれないけれど、我が日本において、「不足するかもしれないから」というのは、ちょっと寂しい気がする。


 とにかく、今出来ることはワクチン接種と、基本的な自己防衛しかない。


 一日も早くワクチンを接種し、コロナの終息に向かっての第一歩を踏み出したいと思っている。この点に関しての私は、珍しく全うだろうか。


 

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