全てはSONY製の、小さなノートパソコンからだった。

 屋久島で暮らしていたとき、この生活を発信できたら面白いよな、と、漠然と思っていた。


 キャンピングカーに暮らしている。とびうおの漁師をしている。魚をネットでお裾分けしている。東京から来た。土地を買った。屋久島にいる。世界自然遺産の島。脱サラ。コネなし。田舎暮らし。


 いろいろと面白いキーワードがあった。


 一回目、熱が下がらず体調不良で帰郷。完全に諦めていたが、二回目再度挑戦する気になったのは、本屋と家電量販店でインターネットの存在を知ったからだ。


 当時、一番始めに見たソニー製のノートパソコンにはカメラがついていて、インターネットという仕組みを使えば、このカメラを通して、相手とやり取りができるという。


 また、デジタルカメラを使えば、フィルムを使うことなく、何枚も写真を撮影することができるばかりか、デジタルデータとして、メールなどに添付して送ることも出来ると知った。


 当時、アメリカに友人が赴任しており、彼とのやり取りをしたいとの思いもあった。


 これからはこれだと思い、ヘリコプターのパイロットになるために貯めていた貯金をつぎ込み、インターネットで情報を発信するための機材を揃えた。


 黎明期、インターネットでコミュニケーションしたいと思うなら、まずはインターネット上に自分で場所を作る必要があった。


 私は見よう見まねでサーバーを借り、ホームページを作り、そこへレンタル掲示板をリンクし、興味を持ってくれた方々とのコミュニケーションを図った。


 また、皆さんに楽しんでいただけるよう、毎日テキストで日記を書き、発信した。少し前にも書いたかもしれないが、一発画像と名付け、トップページの画像を毎日更新して、屋久島の様子を画像で楽しんでもらえるようにした。


 当時はデータを送受信する料金が考えられないほどに高かったので、ネットにアップする画像はお客様のご負担をなるべく減らしてあげようとの趣旨からデータを縮小、目を粗くして、ホームページにアップしていた。


 ブログが出てくる前の話である。


 こんな風にしていた経験もあるからだろう。今のネット社会を見ると、いとも簡単にネット上にテキストや画像、はたまた動画までもが「誰でも簡単に」アップでき、誰でも簡単に視聴することができ、そして、広告収入を得たりもできる仕組みが出来ていることに、驚きを隠せない。


 ガラケーがスマホに変わりつつある頃までは最先端を行きたいと思っていたが、5Gの動画の時代には、ついていく気がしなくなってしまった。電磁波の事もあるけれど、何だかその気になりきれない自分がいる。


 今、私達はスマホを手にして、計り知れない便利さと楽しみを得ることができている。しかし一方で、スマホを手にしたから人間として満足の行く暮らしができているかと言えば、今も昔もそれほどには変わらないだろう。


 かつては理性で何とか抑え込んでいたものが、一人でスマホを手にすれば簡単にできてしまうという危険性もある。


 裏の社会や犯罪も近くなってしまった。


 ある程度の便利さは歓迎するけれど、必要のない便利さには注意が必要だろう。


 道徳教育のように、何らかの方法でしっかりとネットの使い方や注意喚起をしていくことが、これから更に必要になってくると思う。


 こころゆたかな社会を目指して行きたいものだ。



 

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