屋久島パインのはがき

 時代が追いついた、なんて言えるかどうかわからないけれど、そんな風に思うことが最近増えてきた。


 先日のニュースでは、アメリカの50歳位の女性が、コロナの影響で職を失ってしまったため、中古の安いバンを改造し、その中で暮らしている様子が報道されていた。


 バンと言ってもアメリカのそれは日本のハイエースよりも一回り大きく、きちんと改造すれば、生活に必要な設備がきちんと配置でき、ちょっと狭いかもしれないが、その気になれば暮らすことができる。バンなので、もちろん移動も可能だし、居住にまつわる税金もかからない。


 この女性はアクセサリーなどを販売しており、その売上げで生計を立てている。注文が来たら、今いる所の近くの郵便局から発送し、代金は口座に振り込まれる。


 

 日本を見ると、例えば福島県のとある地域では過疎対策として、家族で移住してくれた人には100万円が支払われる、という試みをしている。


 私の時は、どこへ移住しようかと考えた際、頼りになるのは宝島社の「田舎暮らしの本」だけだった。この本の情報はかなり濃く、移住のための情報は、この本だけが頼りだった。何ヶ月か読み続けるうちに屋久島の記事が目にとまり、綴じ込まれていた屋久島パインのハガキで資料請求し、めでたくご成約という流れだった。他の地域がどうなっているのかなど知る由もなく、ハガキ一枚で、車なら1500キロ以上離れている屋久島に決めてしまった。


 ということで、お金がもらえる地域があるなんて、驚きなのである。



 インターネットを使って収入を得るという事にしてもそうだし、ホームページが出会いのきっかけとなって、メールをやりとりして、結婚してしまったなどという事も、当時は説明するのが面倒くさくて嫌だったが、今ではごく普通に行われているばかりか、政府がマッチングサイトを支援するなどの動きさえある。


 だから何よ、って言われてしまえばそれまでだけど、昔から既存のレールに乗って生きていく事が嫌いだったので、その結果、こうなってしまったということである。


 後先の事など考えず、好きなことを自由にやってきたので、いつ死んでも後悔はないけれど、もうちょっと頑張って、もうちょっとお金を稼いで、あと少し、健康で文化的な最低限度の生活を送って行きたいな、などと思った次第なのである。



 今日はカミサンが子宮頸がんの手術をする日。朝の6時から水もダメの絶食で、手術の予定は午後の4時である。たのむぞ、かんばってくれ。


 

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