第7話「不文律」

前日の疲れがでて、昼前に起きた。

慌ててログインし、みんなと合流した。


「おそようございます。セイメイさん!」少し冷たい目線でクリスはいった。

「おそよぅ…??」と俺がぼそっと言っているとユーグが口を開いた。

「『お早う』ではなく、『遅よう』という、いわゆる嫌味ですね♪」とユーグはドヤ顔でいう

俺は少しドキッとして、少し申し訳なさそうにいった。

「そうか、すまんなクリス。まってくれてたんだな。」

「今日は、メディオラム共和国の首都に行くんですよ!」

少しご機嫌斜めなようだ。

「そうか、昨日は国境越えたところでログアウトしたから、まだメディオラムの首都に入ってないのか。」

「早くいきましょう!」とクリスはいうと、俺の背中を押すのであった。


南下してきた部分でいくつ中継地点を経て、集落が点々とある程度で見えてきた先にあるのがロンバルドだ。


~商業都市ロンバルド~


ここでは商業が栄えており、両替商や鍛冶屋・生活コンテンツのアイテムを購入できる、言わば、商店街アーケードと思ってくれればわかりやすい。数多く軒を連ねている。ここで荷物の整理や武器の修理などを行い、この国の首都へ入る事となる。町といっても中継地みたいな場所として大変利便性の高い街である。


俺らは近くのカフェテリアで食事をとった。

言い忘れていたが、イーリアスの食事はHP自動回復付与やクリティカル上昇などがあり、エリクサーより効果時間が長い。長い代わりに少し行動ができなくなる。その時間を使って雑談をするのだ。


【港町で食事していた海鮮丼は、スタミナ上昇・防御力上昇である。】


今回は、シーフードピザとあらびきウインナー、そしてリゾットだ。

あと白ワインを添えてあるので、効果時間延長も入る。



これ、リアルでもうまそうだなぁw




そういえば、このピピンとカルディアというやつら…。

どんなやつらなんだ?

アイオリアと親し気に話してるが、俺らに敵意はない…。なくなったと表現した方が正しいかな?

クリスがアイオリアをみている。そうだ、クリスに聞いてみよう。

「なぁクリス、あいつらは何者なんだ?」

「私も知りません。おそらく前のギルドの仲間なのようですけど…」

ほう、昔の仲間か。こりゃアイオリアの黒歴史を聞けるというわけか!

俺は、少し口角が上がった。

俺はアイオリアに近づき、話しかけた。

「おい、アイオリア。そいつらは何者なんだ?」

アイオリアが口を開こうとしたとき、ピピンという、亜人のアーチャーが話しかける

「アイオリアは前のギルドでは、最強だったんだぜ??」

「へー、どんな感じ?」

「おまえ知らないのか?元エウロパのギルメンだぞ?」

「へ~。…は?」俺は相槌をうった瞬間、驚いた。

「俺らも元エウロパなんだぜ?」とピピンとカルディアが俺を見てニタニタ笑う。

「おい、なんだ?そりゃ!」と俺がいうと、アイオリアが二人を押しのけていう。

「我がマスターよ。何か誤解が発生しそうだからいうが、俺はもうエウロパのギルメン(にんげん)じゃあない。今は正式なオケアノスのメンバー(ギルメン)だ。それとこいつらはいつもの悪ふざけで茶化してるのだよ。」

「どういうことだ?説明してもらおうか」俺はアイオリアに会話のボールを投げた。


「…まぁ、こればっかりは避けて通れない説明だな…。」

アイオリアは重い口を開いた。





俺がギルドを立ち上げて間もない頃だった。新進気鋭のエウロパは破竹の勢いで名だたるギルドを押しのけて這い上がってきたギルドだ。その中にアイオリアはいた。

「私がエウロパにいた頃は、今のギルマスではなく、前ギルマスの頃の話だ。私はその人と話がよく合い、一緒に旅をすることがあった。そんなころ、ギルドを立ち上げたいわば、立ち上げメンバーなのだよ。」

「そして、最大の功労者だよな?」とカルディアが差し込んできた。

「功労者?」俺はよくわかっていなかった。

「おい、オケアノスのギルマスよ。“英雄”という名称は知っているだろ?」とピピンがいう。

「英雄は一騎当千の上だ。ゲームサポートもかなり優遇される。」

そう答えた。あとに俺は少し目をこすって落ち着いていう。

「あの英雄なの?」

「知らないのか??アイオリアは“英雄”なんだぞ!!」二人は口をそろえていった。



英傑・英雄・一騎当千・豪傑とイーリアスは名声ボーナスというシステムがある。毎日、多額の報酬が皇室より支給されギルドを抜けてもそれは付与され続ける。智勇兼備のプレイヤーの称号の証である。



「英傑は知っているよな?いわゆる占領ギルドのギルマス専用の称号だ。サービス内容は英雄と同じだぞ?」ピピンが少し煽りながらいう。このクソチビ、なめてんじゃねーぞ!

「ああ、知ってる。バカにすんな。」

「ピピン、口が過ぎるぞ。マスターすまない。」アイオリアがいうと、ふんっといって横を向く

「マスター、私は英雄という称号を所持している。隠すつもりはなかったのだ。」

「いや、別に…、驚きはしたがそこまでのプレイヤーだったとはな…。」



話を聞くと、エウロパの現在いまを作ったのは前ギルドマスターとアイオリアと数名だそうだ。

今のギルマスは立ち上げメンバーではなく、途中から合流したメンバーらしい。

ギルメンからの信頼が厚く、前のギルマスの引退からすぐに頂点に君臨したということだ。

アイオリアが本来引継ぐはずだったらしいのだが、アイオリア自ら、器ではないということで辞退。

協議の結果、今のギルドマスターになったという経緯だった。


英雄の称号を得たのは、各拠点での戦果と生活コンテンツなどのポイントがのっかり、英雄になったのだった。



「コロッセオでよく一騎当千とかの称号や英雄とあるが、あれとは別なのか?」俺はPvP特化のコンテンツを話をした。

「あれとは別です。あれはシステム上、身内でボーダーラインを意図的に超えることができるので、なんの名誉もありません。」

「まぁ、アイオリアは基本最初の初手で相手の先陣の出鼻をくじくのが大得意なんだよな!」

カルディアが腕を組んでアイオリアと目を合わせた。

「私は…、御大(前ギルマス)の夢の為のきっかけ作りでしかない。今は目標を半分失っている。」

「そうなの…か…?」俺は下を向いていた。少し胸が苦しくなった。

「ギルドを抜けた理由はなんだ?」と俺はそこが気になったので聞いてみた。

「ああ…、いわゆる燃え尽き症候群っていうものでしょうね。前ギルマスが引退したショックが大きすぎてというのと、ギルドの雰囲気が変わったのが原因だと思います。」

アイオリアは空を見上げた。



…アイオリアもゲームを楽しめてるように見せかけて少しつまらなさを感じていたんだ。

でも、おまえ、痛いキャラを演じてまで虚勢を張らないとやってけなかったのか?そうか!!だから自分で英雄だとか、アテナだとか言い振り回して自分に枷をつけているのか??いや、彼にはもっと深い理由がありその感情がどうしようもなくて、無理やり蓋を閉じているのだ。そういうの、少しわかる気がする。


「なぁアイオリア。おまえはなんでうちに入ったんだ?クリスが理由なのかもしれんが、他にもあったのだろ?」と俺は少し突っ込んだ話をしてみた。

「まぁ…クリスもそうですが、ケブネカイゼの時のやり取りが正直で真っすぐだったのが印象ですね。」続けていう。

「あなたは…、上に立つべきである。」と真剣に言われた。

「俺はそんなんじゃあない。それにある意味、世捨て人のようなものだ。」と返した。

「いえ、エウロパの前ギルマスのと雰囲気が似ている。それに性格が正直なのもある意味好印象である。それが理由です。」

俺はないないといい、少し黙ってしまった。


「カルディア、ピピンお前らは今どこに所属しているんだ?」とアイオリアがいう。

「うちは、DGだ。」カルディアがいう。

「俺はレオナルドだよ」とピピンがいった。

「そうか、おまえらオケアノスに来い。私はこのマスターを押し上げる。」と二人をみていう。

「おい、まじかよ!!??」ピピンは驚いて声が大きくなった。

「まぁ落ち着けよ。アイオリア。こいつは俺に負けそうだったんだぜ?そんな奴が俺を扱えるのかよ?」とカルディアが俺を指して言う。

そうするとアイオリアが

「職業別にいったら、相性は♀ストライカーが有利となっている。その上でカルデイア、お前がトドメを指せてない時点で五分なのだが??」と見解を述べた。

「タイマンなら勝ってたわ!!」と息を上げて言う。

「PKのフィールドにルールなんて存在しない。あるのはヤッたかヤラレたかだ。タイマンのルールなんて公式戦以外なんの役にも立たない。本来ならお前らは私に返り討ちにあっていた。そうだろう?」とアイオリアは冷静に理路整然と話をしていった。



PKは、そう、文句がいえないのだ。負ければ負けたやつが悪い。『理由は弱いから。』ただそれだけだ。

仕掛けた方が悪いのではなく仕掛けられて、やられる奴が悪いというのがMMORPGの原理原則だ。タイマンだろうと複数だろうと。

それを何をとち狂ったのか騒ぐ奴がいる。それは違う。PKありきのMMORPGを選んで、やられる方が悪いのだ。それが嫌なら他に行け。これが“掟”なのだ。

雑魚は狩られる。発狂する。周りからはシステム理解しろと突っ込まれて黙る。

好きなゲームとして選んでいる以上、強くなくてはならないと同時に対応力も求められてくるのだ。

まさに『契約書の規約をきちんと読まずにあとになって文句をいうバカと同じ』なのだ。

そんなやつはごまんといるし、その後どうなったのかなんて知る由もない。




「わかったよ、アイオリア。だが、そこまで言うからには勝算があるのだろうな?」カルディアが疑ってかかる。

「勝算なんかあるものか!今は人数を埋めて即戦力強化だ。セイメイ殿という神輿を担ぐのだ。一人でも多い方がいいだろ?旧知の仲だ、力を貸してくれ。」とアイオリアはお願いをした。

「んーーーーー」とカルディアがうなる。

「あのさ、ギルドルールはどういうの?」とピピンがいう。

「ああ、うちはPK自己責任、ギルドクエストは自由。拠点戦・占領戦の際に招集できれば基本自由だよ」と俺はいった。

「え?ノルマとかないのか?いついつまでにAD(攻撃力・防御力)をあげろとか?」

「ないよ。リアルも大事にしてほしいからそんなことは決めてない。」

「むう…。自由というのはなんか不安だな~」とピピンはしかめっ面をしてそうにいう。



俺は少し考え方を整理し、話す事にした。





「これは俺が思う自由の定義なのだが、これは一個人の見解だ。一言でいうと、『自分自身に厳格なルールを持たせて、それに従うことこそが人の本当の自由だ。』と思う。」

「これが原則だと思っていい。」


「自由とは何にも縛られていないこと。たださ、100%の自由は存在し得ないのだよ。存在したら無法地帯になり人間の自由は損なわれる。まだそこでは自由じゃない。


ルールがあるからこそ人間はルールに守られ、幸せに生きている。


つまり今でいうと法律とか規約だな??必要な自由と不必要な自由は見極めなければならない。

何事においても自分本位でいいというわけではないのさ。あとさ、我慢ってあるだろ??これはシバリってやつだな。そのシバリから解放されたときに幸せという自由を得られる。


シバリの中でも何かを達成したときに幸せを感じることができるだろ?ゲームとかで難しいステージをクリアしたとかの『やったー!』という感情。つまり精神の解放だ。これ自由ね!!


精神の自由という論理は、文化やアイデンティティにおける地盤、実社会、政治背景、そのような各背景から抜け出したときに精神の自由を得ることができる。といわれている。



自由は幸せの一部分でしかなく、自由=幸せというわけでもない。」


「よくわかんねーし、もうちっとわかりやすく頼むわ!!!」カルディアとピピンは少しうなだれていた。


俺はもう一度噛み砕いて説明する。


「あーうんと、自由というのはだな!!自分の中の最低限というルール、倫理観とかマナーとかエチケットとか、そういう信念に近い価値観!!これが俺もお前ももっているルール!!それらをクリアにしたら、真の自由だってこと!!」


「まぁあれか!!一般的な自由の解釈でいいということか?」

ぽんとピピンが手を叩く

「この理論での場合は、ちょっと違うけどそれも正解だわ!!んまぁ、ここでいう束縛というのは精神的束縛を指す。精神的束縛というのはここまではしなきゃいけない!この時点でルールが出来ている!真の自由というのはそれすらないってこと!!」



「ほへーーー」二人して声を合わせる。


「でも!!!その真の自由という解放のたがが外れてしまうと最初にいった無法地帯になって、お前も俺も自由じゃなくなって骨肉の争いになって、そもそも争っている場合じゃないだろ?ってこと」


「あーお互いのテリトリーに入るからか?」カルディアがいう。


「そう!俺の言っている自由は大体、『一般的な常識の範囲での自由』って思って遊んでくれればいい!ということ!」



「自由ってこんなに壮大な意味だったんだね!」とピピンが関心をする。

「おまえおもしろいなぁ。教育番組でれるよ!!」とカルデイアが笑いながら感心していう。


「ああ、そうかい?ギャラいくらもらえるんだがねーー!!」


俺は自由という言葉を軽々しく言うやつが嫌いだ。

なんでもできる=自由だと安易に考えているからだ。

何でもできるってなんだ?おまえバカか?他人に迷惑かけて生産性のない行動、精神的欲求を選択したら、それは他人の自由を奪っている。キチガイだ。PKが迷惑行為の一つに挙げられている要因の一つは、狩場争いとかではなく、ただ目の前のプレイヤーを殴るという行為そのものが、理解されないのだと思う。それは、道端で他人に殴りかかるようなイメージだからだ。

ゲームだとはいえ、人は理解しがたい行為について理解を得よう市民権を得ようなどというのは到底受け入れられないのだ。


ゲームだから好き勝手やる=やられても文句をいうなよ


じゃあそいう奴らにはこれが鉄則ルールだ。

自由だと軽々しくいうやつは大抵、自分がPKされると文句を言うのだ。そういう浅はかな奴を俺は知っているが、ただのわがままかまってちゃんだ。話す相手にすら値しないゴミだ。そういう奴がいうと虫唾が走るほどイライラする。


ーだまれゴミクズ!ー


と思いながら、無視する。そう、かまってちゃんには無視が一番いいのだ。

いじめ?馬鹿言うな。迷惑かけてきているやつを相手するほど俺はお人よしではない。



自由というのは人を騙す魔法だ。この世界に自由という定義が存在しているけども、みんな出る杭は打たれるじゃないが、足の引っ張り合いで世界の秩序は保たれていて、わずかな解放感で幸せを得ているのだ。


この世の中でいう自由といのは限定されたルールの上での自由だ。


これを履き違えてはダメなのだ。




「…。もうわかっただろ?セイメイ殿は信念を持っている。私も今挙げられた論理に同感した。」

アイオリアは二人に再度、話しかける。

「だからこい。また一緒に戦場を駆け回ろう。」



「んーわかった。意外にしっかりしてて感動したわ。」カルデイアは俺の顔をみていう。

「まぁ、アイオリアがいうんだから間違いないんじゃない?」とピピンがいう。


「よし、双方のギルドで脱退手続きを取ってくれ。入団に感謝する。」とアイオリアは二人を説得させていた。

「マスター。」アイオリアが今度は俺に話しかけてきた。

「俺は貴方を高く評価しています。だから、一緒に戦ってエウロパを倒しましょう!」

「おいおいおい、この戦力でいくのか?」俺は少しめんどくさそうにいった。

「大丈夫です。ここのギルド大きくしましょう!」とアイオリアは自信満々いった。


果たしてオケアノスは大きくできるのであろうか?


俺は少し物思いにふけることにした。




食事が終わり、出発の準備を終えて馬に跨り町を出るとあの二人が立っていた。

「おう、ヘッポコマスター!入団しにきたぞぃ~」

とカルデイアがいっていたその瞬間に後ろから気配がした。

ふと後ろをみようと振り向いたときに、白い影は目の前を過ぎ去っていった。


その影を追うように顔を向けると、カルデイアの顔をアイアンクロウをしているアイオリアが立っていた。ピピンは尻もちをつき、後ろに後退りをしていた。

「…、おまえら俺に恥をかかせるんじゃね~ぞ…!普通に挨拶しろや!ボケカス共が!!」

とアイオリアは一喝し投げ飛ばした。

俺は慌ててアイオリアに近づく。

「アイオリア、その辺にしとけよ。俺はなんとも思っちゃいない。」

アイオリアの肩を叩き宥める。

「たしかにカルデイアには負けていた。そう俺は負けていたんだ。だから俺はもっと強くならなければならんのだよ。勝った戦からはあまり学べない。負け戦だから学ぶことがたくさんある。それを糧に次に活かすのだと思うぞ?」

俺はそういうと、カルデイアの下にいき、手を貸した。そして、二人の間を取り持ち和解させ、俺は二人は正式的にオケアノスのメンバーに入ることとなった。


旅の仲間が増えたことはありがたい。

ソロモン・ユーグ・クリス・アイオリア・カルデイア・ピピン。


俺らの旅はまだ始まったばかりなのだ。



~首都ロームレス~


神殿や歴史的建造物があるとされている町、それがロームレスだ。

なんでも、神様達がここをこぞって取り合ったとされている。PvP特化のコロシアムがあるのもここの国の統治下だ。

なんでも地盤の鉱石が建造物に最適な石ばかりだったため、ここに昔から住んでいた住民は景観を重視しまた小高い丘があるのでそこからの景色を非常に大事にしたという。建造物は全てバロック様式。最近は生活重視のプレイヤー達がロココ様式の建物にしてると聞く。

また治水工事がきちんとしてあるらしくところどころ、噴水広場がありプレイヤーの憩いの場がある。

別名:エヴァンゲリオンの街と言われている。

それはギルドが統治する席とは別に総本山、聖メシアの法王がここに君臨しているためである。

政治的支配力はないが、やはり宗教という設定を盛り込んでいるあたり、イーリアスの世界ではここに訪れる人々は後を絶たない。





まぁ俺は日本の神様が八百万の神々と知った時、この国は神々が多すぎて面白いと思った。

一神教に対して、我々は多神教である。世界的に見れば、不思議なのだろうけど我々はモノに神が宿るとされているから、モノを大事にしろと教わる。我々にとってはそれが自然なのである。


こういうゲームをしていても、一神教でいかに国を統一しようと考えていたか、ファンタジーの世界でも伺える。まぁ世の中、いろんな神様を重んじるべきだよ。うん。宗教戦争でいいこと一個もなかったじゃん?なんで殺すの?そもそもそこよ!お前の信じる神様は殺していいとしてるの?

どんなにムカつくやつでも法の裁きをしてやんなきゃな、周りが認めんよ。

聖地は聖地で管理するしないでもめてるけど、お互いがお互いを管理するようにすればいいと思うよ。三すくみのジャンケンみたいにさ。宗教の話はよくわからんけど、まぁ中世のヨーロッパの影響を受けているのだけはよくわかるイーリアスの世界だ。



そんなこんなを考えていたが、ロームレスの街並みを俺らは見ていた。

「わーい!ここすごく可愛いデザインですよね?」クリスは思わず馬を降りて目を輝かせて動き回る。

「あれじゃあ子供と一緒だな?」と俺がいうと聞こえていたのかクリスが膨れる。

「子供じゃありません。可愛いものに目がないのです。男の子だってロボットとかに興味あるでしょ?それと一緒です。」とクリスはいうとまた街道を歩き回る。

ソロモンと俺は目が合い、やれやれといった具合だ。


さて問題は未だ解決していない。


まずは反エウロパ勢のフォルツァのギルマスに会って話をするとしよう。


そこから力を借りてエウロパへの筋道を立てていくとしよう。

とにかく、俺らは狙われなければいいのだからな。



俺はそう思いながら、ギルドマスターたちが集う元老院の建造物に向かい彼らに相談することとなった。

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