第6話 夢は言い続ければいつか叶う
「て、手伝う!?零史様が、私の研究を!?」
「Yes!ザッツライト!そのとーーり!
あーそれと『様』は要らないです。これから長い付き合いになるんだし、何たって研究仲間!」
異世界に来てからテンションおかしいのは、気のせいなのか。
それとも、あまりの情報量に頭が混乱してラリってるのか……どっちでもいいか!
よーし、俺についてこいよ!
「聖霊は……科学を嫌っているのでは……?」
「ん?俺は科学好きだよ?」
「聖信教は人間が作り出したものです。聖霊はただそこに在ることに意味があります。人類に過剰な接触はしません……でした。いままでは。」
俺とルナが言ったその言葉は、異世界に来たばっかりでもわかるくらいの重大ニュースなんじゃないだろうか??
聖信教のかかげる『科学は聖霊が嫌っているから禁忌』という教えは……人間が勝手に考えたもので、しかも俺は「好き」なんて肯定的だ。
まぁ、前のマスター君は知らないけど、引きこもりだったし、あんまり興味なさそうだよね。
「なんと……ならば私は、一体いままで……なぜ……。」
ちょっとショッキングすぎたようだ。
そりゃそうだろう、命を狙われてた理由が間違ってたんだ。
アルタイルは嘆き、俺の手にある紙飛行機へと手を伸ばした。
その手に紙飛行機を渡し、その手を外側から包みこむ。
前言撤回だ。
この世界に来たばっかりの俺が、こんなにアルタイルを助けたいと思うのは……きっと前のマスターの感情が残ってるんじゃないか?
……そうじゃなきゃ、まだこの遺跡しか知ることの無い世界で、俺がこんなに怒りを抱くなんておかしいじゃないか。
何かちょっと怒りで体ポカポカしてきた。
「ねぇ、アルタイルさん。俺の夢、聞いてくださいませんか?」
アルタイルさんがゆっくりと顔をあげる。
ルナが俺の顔を見つめているのがわかった。
「……実は俺、聖霊になる前の記憶があるんです。こことは違う世界にいて……その世界では、空の更に向こうへ飛んで行く技術がありました。」
「おぉ、なんと素晴らしい技術でしょうか!空の更に向こうからの景色なんて想像もつきません。」
「すっごく綺麗ですよ!空の向こう『宇宙』から見た景色は。俺は宇宙に行く仕事、『宇宙飛行士』になりたいんです!」
「宇宙飛行士?」
「そう、ロケットって言う飛行機より更に高くまで飛べる乗り物に乗って、夜空に浮かぶ星までいけちゃうかも!」
アルタイルは、1度まだ明るい青空をゆっくりと眺めた後、俺を見た。
「零史様……零史。私はあなたを信じます。
はははっ、空の更に向こうですか!あなたの笑顔を見ていると、私の悩みなぞ吹き飛んでしまいました。」
その言葉にルナが首をかしげている。
「零史はまだ能力を行使していません。」
「ルナく~ん、そゆことじゃ無いんだな~?まぁ、ルナもまだ0歳(生まれたばっか)だし、一緒に勉強してこ。」
いまここに、ガラヴァ皇信国の教えにそむく、悪い子チームが結成された。名前はまだない。
「それじゃーこれからよろし……。」
「零史、あっちから複数人の足音が聞こえてきます。」
まるで青春の1ページのような雰囲気をルナの言葉がさえぎる。
耳がせわしなく動き、こころなしかはりつめた空気を感じた。
やっぱりウサギの形してると、耳まで良くなるのかな?
「はっ!もしや、私が科学者だとバレて追っ手が!?」
アルタイルがごくりと唾を飲んだ。
もし科学者を殺しにきた刺客だとしたら、俺も他人事じゃない。
(これでも科学者目指そうって決めた所だ。男に二言(にごん)はないぞ!)
俺にはブラックホールという宇宙でも最強を誇る能力がある。
まだちょっと使い方初心者だけど、イメージ力はルナお墨付きだ!
現代日本人のファンタジー創造力なめるなよぉ!?
だがその前に、聞いておかなければならないことがある。
「アルタイルさんってすっごい魔法強そうに見えるけど、実際どんな感じ?」
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