第26話
学校に着き、予告通りに搾り取られたり、詰問されたりしたが……
まあ乗り切った。うん。
そして今は、4人でクラス分けの張り紙を見ている最中だ。
すると……
「一緒だ………」
「一緒だな………」
……驚いた事に、4人とも同じクラス、1年1組だったのだ
「こんな偶然ってあるんだな……」
僕はそう言って、クラスの席順簿を見た。
席は名前の最初の音の順番に並んでいたので、僕たちははまた一緒というわけにはなっていなかった。
…というか、僕の席ベストポジションじゃん……
僕の席は窓側の最後尾だった。
要は教室の角だ。
次に、雪菜達の席を見てみる。
すると……
「おっしゃあ!女神様の横だぁ!」
「チッ、ずるいぞ!」
「俺もそこが良かった……」
後ろから男子達が、何やらコソコソと話す声が聞こえてきた。
……それにしても、女神って……
僕は雪菜の方を見る。
……二重の左右対称な黒目、
スッとした鼻、形のいい唇、
滑らかな白い肌、セミロングの黒髪……
いや……女神だな………
確かに、これは男子達に神格化されてもおかしくないと思う。
雪菜の美少女レベルは、常軌を逸しているのだ。
僕だって、新しい学校生活が始まって、横の席が超絶美少女だったなら、軽く小躍りするだろう。
例えの話だが。
…ともかく、それ程までに雪菜の魅力は凄いということだ。
…話を戻そう。
雪菜の席は、中央の列の一番後ろ。
僕の席とは比較的近い。
次に、大輝の席は、六列ある中の、廊下側から二番目の列の、一番前の席だ。
そして最後に、天沢さんだが、苗字が"ア段"の一番最初なので、必然的に廊下側の列の最前席になる。
因みに、この席は、大輝の席の隣だ。
……横を見てみると、天沢さんは座席表を見ながら満面の笑みを浮かべているのだが、雪菜は少しムスッとしている。
みんなと離れて寂しいのだろうか?
僕がそんな事を思っていると、後ろから大輝に突かれた。
「おい、後ろが詰まってるから早く座れ」
「おお、分かった。サンキューな。」
「あ、それと拓海。頑張れよな!」
「は?何を?」
「……分かってないならいいや。」
「?」
僕はそんな事をいう大輝を不思議に思いながらも、自分の席に座った。
雪菜の席の周りには、既に人集りができていて、とてもじゃないが話しかけられるような状況ではなかった。
「はぁ………」
最近癖になってきているような溜息をつき、僕は窓を開けて、外の景色を眺める。
高台にあるこの学校から見える景色は、何処かの写真展に飾られてもおかしくないくらいに綺麗だった。
そして僕は、心の中で呟いた。
……友達、出来るかなぁ………
…自分で言ってて悲しい。
そう思って、再び教室の中を眺めたところ…
「あっ、やっとこっち向いた。」
「…………」
隣の席に雪菜が来ていた。
「……何故ここに?雪菜さん?」
「席借りていいかって聞いたら、良いって言ってくれたから。」
「ああ……そうですか……」
僕はぐでーっと机に突っ伏す。
…何しろ、周りの男子からの"コイツ誰?"みたいな視線が痛かったのだ。
机に突っ伏した僕に、雪菜はまた話しかけてくる。
「拓海、友達作らないの?」
「………」
雪菜は続ける。
「友達作らないと、高校楽しくないよ?」
僕は伏せたまま答えた。
「……作らないんじゃなくて、できないんだよ。」
「…できない?」
「………」
僕が答える気がないと気が付いたのか、はたまた何か別のことを悟ったのか、雪菜は追求を辞めてくれた。
……友達……欲しいな……
僕はそう思って、目を閉じた。
<作者より>
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