第170話 豪華なコース

わーーー! わーーー!


「成金貴族達が集まるレース。ゴージャスエレガントカップ通称成金杯、今宵もやって参りました!。出場する令嬢達はまさしく莫大なる資産を持つ大富豪のご令嬢達です。出場する騎竜乗りの令嬢達も見事なドレスを着て。高価な装飾品で彩られております。私、実況を務めさせて頂きますアルヘビラ・イマソガリと申します。そして解説の1人にはこの大会レースの主催者でもあらせます東方大陸を拠点とするハーディル商会のご令嬢パトリシア・ハーディル嬢に来て頂きました。」

「どうも。」


パトリシアは軽く返事をする。解説するのはあまり乗り気でない様子で話す言葉からもやる気は感じられない。

パトリシアの座る放送席の後ろにはメイド姿の騎竜黒眼竜ナーティアが控えている。



『そしてもう1人は今宵のゴージャスエレガントカップのレースコースの創設を務めさせて頂きました大富豪の貴婦人サルマニア・サナナビッチ婦人です。』

「オホホ、今宵のゴージャスエレガントカップのレースコースはより豪勢に。より豪華に作らせて頂きまました。皆様方楽しみにしてください。」



「ではゴージャスエレガントカップのレースコースを説明致します。」


ピッ

レース会場に吊るされた魔法具の巨大スクリーンにレースコースの映像が流れる。


「ゴージャスエレガントカップのレースコースは特に障害物はありません。ただ他のレースの違いがあるとすればここのレースコースはふんだんにお金が使われているということです。まず最初に通るコースは魔法で人工的に流れる激流の川。ただの激流の川ではありません!。流れるのは水ではなく。何と!全てが金貨なのです!。無数の金貨が激流として流れているのです。美しくも金色に流れる金貨の数。その数は数千数億ともとれます。それはもう黄金に流れる絶景と言えるでしょう。」


おーーーーーーー! 

バチバチバチバチ

観客席に座る宝石貴金属をつける派手な成金貴族達からは驚嘆の歓声が上がり拍手までなり響く。


『そして続いては美しき透明なまばゆき光をを放つ森林。これもただの森林ではありません。高名な魔法彫刻家ノルド・バッカーニャ師が削ったダイヤモンドでできた森林なのです。ダイヤモンドの原石丸々何tも用意し。それを魔法で精製し削りとりました。木々を型どったダイヤモンドの木々はもう芸術の域をとうに越えてます。はあ~、ため息がでますねえ~。どれだけの財力を駆使すればこれほど見事なダイヤモンドの森林が出来上がるのでしょう。』


「キャーー凄いわ!。」

「正に金持ちだけの道楽よ!。」

「我等もあやかりたいものですなあ~。」


観客席の座る成金貴族達は輝きを放つダイヤモンドでできた森林に見惚れる。


『最後のゴール直前のコースではあの黄金を生み出すと吟われる伝説のレア種、黄金竜を巨大な黄金像としてゴール手前に建造されおりま。いえ、銅像などではありません。黄金竜だけに黄金で造られております。正に黄金の黄金竜の像と言うことです。』


わーーーーーーーー!!

パチパチパチパチ

成金貴族達からは盛大な拍手喝采が巻き起こる。

成金貴族達は豪華なレースコースに皆うんうんと頷き満足している。


··············

俺は微妙なしかめた竜顔でそんな実況を聞いていた。


なああああ~~~ーーーーーーーーーーーーーーーーーんて金の無駄遣いだ。これが本当の金の無駄遣いというべきか。金貨でできた川、ダイヤモンドの森林、巨大な黄金の黄金竜の像。あんたらね。お金が沢山あるからって余計なもの作りすぎだろ!。レースに全然関係ねえだろうが!。金を使った障害物レースとかなら解るよ。だけどただたんに金貨の川やダイヤモンドの森林とか黄金の黄金竜の像なんて何処に需要があんだよ。後先考えぬ政治家が国の税金を使いまくって施設を立てまくり。その施設を政治家どもがあんまり利用せずに税金の無駄と民主から訴えられるほどの同じレベルじゃねえか!。無駄にもほどがあるわ!。俺は成金貴族の胸糞悪くなるほどの金銭感覚に憤りを感じてしまう。

マーヴェラス家没落した貧乏生活と前世の庶民生活から成金貴族共の金を扱い方に物申すほど怒りが沸いてくる。

こんなレースをマーガレットお嬢様は毎年出場して優勝していたのかよ。貴族の道楽がここまでしょうもないことに費やせることに俺は呆れを通りこして退いてしまう。まあ、変態的なロリ杯があるくらいだから。こんなしょうもないレースがあっても可笑しくはないのだろうけど。


『それでは今宵のゴージャスエレガントカップにおいて成金貴族達からの絶大なる人気の騎竜乗りの令嬢をご紹介致しましょう。最初に紹介するのはゴージャスエレガントカップ三番人気真っ白な厚化粧に身を包んだ令嬢達五人、チーム名は純白の乙女。彼女達は全てにおいて完璧であります。資産、財力、家柄、気品、社交性、全てにおいて完璧であり。特徴的には彼女達の顔は真っ白な厚化粧に塗られています。何故顔を真っ白な厚化粧に塗られてかというと素顔隠すためであります。素顔を晒すと男児紳士諸君から求婚がたえず寄ってくるからだそうです。いや~、素顔みたいですねえ。』


わーーーー!わーーーーー!

成金貴族の紳士達から歓声がわき。真っ白厚化粧顔の五人の令嬢達は笑顔で手をふって応える。


『パトリシア様、サルマニア様もそう思いませんか?。』


実況アルヘビラは笑顔で二人に同意を求める。


『別にどっちでもいいわね。』

『ふふ、私ほどでもないですけれどね。』


パープル髪の小柄の令嬢は興味さげに言葉を返ふ。サルマニア貴婦人は宝石付き羽毛の扇をあおぎながら彼女達に対抗するようにマウンドをとってくる。

二人とも会話合わせてよ。

実況アルヘビラは怪訝な顔で小言を吐く。


『彼女達が乗る騎竜も実に豪華です。白翼竜、琥珀竜、水晶竜、魅華竜、そして煌輝竜、全てがレア種てあり美しき騎竜と称される竜達です。全てにおいて完璧なチームの令嬢達。今宵のゴージャスエレガントカップは彼女達が勝利を飾るのか?。』


わーーーーー!わーーーーー!


『続いて二番人気である。毎年一番人気であるマーガレット・ベルジェインに優勝かっさられてしまう高貴でありながら不憫な令嬢シャルロッテ・マドワーゼル。彼女の美しき肢体並びに財力も家柄も美貌も全て彼女与えたられた神の贈り物。今宵彼女の勝利に勝利の女神は微笑むのかーー!!。』


キャーーー!!キャーーー!!。


『どうでしょう。シャルロッテ嬢は勝てますかね?。パトリシア嬢、マダムサルマニア様。』

『さあ。興味ないから解らないわ。』

『ふふん、美しい美貌だからってわたくし勝ると思えないわね。わたくしの美貌の方が数倍も上ですわよ。』


こいつら真面目に解説する気あんのか。

二人の令嬢、貴婦人のあまりにも自分勝手か解説に実況アルヘビラはぐぐっと胸の内の怒りを抑える。


『ごほん。ではシャルロッテ・マドワーゼルの騎竜を紹介致しましょう。美しきルビーのような輝きを放つ鱗を持つとされる竜。崇高竜。その姿は正に崇高なるいでたちに相応しい。美しきもあり。強い。強美とはこのことを言うのでしょうか。シャルロッテ・マドワーゼルとその騎竜の今後のレースを見守りましょう。そして最後の一番人気、知る人ぞ知るゴージャスエレガントカップ連覇の女王マーガレット・ベルジェ·······何だこれはっ!?。』


ざわざわ

スクリーンの映像が騎竜に騎乗するマーガレット・ベルジェイン写し出されると実況アルヘビラは口を開いたまま絶句する。


観客席に座る成金貴族達もスクリーン写しだされた騎竜と騎竜乗りの令嬢に愕然となる。

そこにはノーマル種とそれに股がるドレスや装飾品、アクセサリー等何の飾り気もしていないタイツ、レオタード姿のほぼすっぴんの令嬢の姿が写しだされていた。ノーマル種股がる令嬢は嬉しそうに密着するようにノーマル種に背中に抱き着いている。


『これは!?どういうことなのでしょう。マーガレット・ベルジェインの格好がおかしいです?。それに乗っている騎竜はあのダイヤモンドのような美しい輝ぎを放つ至高竜ではありません!。ただのノーマル種です!。』


ざわざわざわざわ

成金貴族の観客達が騒ぎだす。何故ならゴージャスエレガントカップ毎年優勝者であるマーガレット・ベルジェインがただのノーマル種を騎竜にして出場したからだ。それ以外にもあまりにも成金貴族にとって豪華なゴージャスさからかけ離れたマーガレットの容姿に観客席に座る成金貴族からどよめきが広がる。


『一体マーガレット・ベルジェインに何が起こったのでしょう!。ただのノーマル種を騎竜にするだけてなく。衣装が素肌に近いほど薄着であります。最早それはすっぴんと言われても申し分ありません。』


·············

ゴージャスエレガントカップ優勝者の有り得ぬ奇行、姿にレース会場の貴族達はしーんと静まり返り場が凍り付いたように固まっている。


『ああ、なん足ることでしょう。わたくしは彼女を買っていたのですよ。きらびやかな美しい竜を携え。家柄、気品、社交性、財力も全ておいて申し分ないのに。彼女があんな奇行に走るなんて。もうこのゴージャスエレガントカップは終わりですわ!。』


サルマニア婦人は宝石の羽毛の扇を口にあて落胆のため息を吐く。


『それはどうでしょうか?。マダムサルマニア。』


突然、放送席にすわるパトリシアが口を開く。


『それはどう意味かしら?。ミス、パトリシア。』


落胆するサルマニア婦人の隣席で小柄なパープル髪の令嬢パトリシアは小さな唇に手を添えふふと嘲笑う。


『確かにノーマル種は能力が低いとされていますが。マーガレット・ベルジェインが乗るライナというノーマル種はその常識を覆えしますよ。』

『ほう、小娘。ハーディル家の娘とてわたくしを謀ろうとするならばただではすまさぬぞ。』


ギロッ

サルマニア婦人の鋭い眼光がパトリシアを冷たくい抜く。


『ちょ、お二人とも喧嘩しないでくださいよ。』


実況アルヘビラは二人の間に割って入り宥める。


『と、とりあえずマーガレット・ベルジェイン。ノーマル種に乗って別の意味で目立つことになってしまいましたが。さてこのレースどうなるか予測出来なくなりました。』


パッパッラー パッパラー

ファンファーレがレース会場に鳴り響く。


『さあ、いよいよゴージャスエレガントカップが開始されようとしてます。』


ゴージャスエレガントカップのスタート地点にスタンバイするゴージャスな衣装を着た令嬢達と宝石、貴金属の装飾に施された騎竜が身構える。


ライナもきらびやかな令嬢と騎竜達に囲まれ浮いていたが気を取り直して身構える。

スターター役が台の上に立ち旗を上げる。


さて、マーガレットお嬢様をのせて早々にレースを終わらせよう。

ゴージャスエレガントカップのスターターの持つ旗もプラチナ色に染まっていた。

スタート位置に宝石や貴金属にきらびやかに着飾る騎竜達は皆身構え身を低くし。飛び立つ準備をする。

俺も竜膝を曲げ。筋肉の翼をおおきく広げる。

騎竜の興奮する竜の鳴き声が一瞬でピタリ止まる。


台のスターター役は大きくプラチナ色に染まる豪華な旗を大きく降り下げ叫んだ。


『GOー!!!。JAS!!。』


バサッ‼️

ギャアあああああーーーーーーーーーー!!

(スタートまでゴージャスにこだわるなああーーーーーー!!。)

バサバサバサバサバサバサッ‼️


ノーマル種の突っ込み咆哮が会場内に放たれ。高価に染まる騎竜と令嬢達はゴージャスエレガントカップ会場上空を豪華に飛び立つ。

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