第106話 こだわり

ギャアーーー!!

(オパパイーヨ‼️)


ひゅん!!

三組の騎竜乗りと騎竜そしてアキナイ・マカランティーヌを乗せた宝輝竜オワシの目の前に緑の鱗に覆われた騎竜が飛び出す。


『凄い!凄い!パトリシア・ハーディルが乗せたノーマル種が最後尾から一気に先頭に躍り出た。解説のセルリアさん、オロゾフさん凄いですね。』


実況のロリンは同意を求めるように同席に座る老人とゴージャスなドレスに着飾る貴婦人に話しかける。


『確かに騎竜乗りのパトリシア・ハーディルが乗るノーマル種は凄いじゃが····。』

『そうですわね。普通と言われているノーマル種があんな加速飛行できるなんて凄いとは思いますけれど·····。』


二人とも口をへの字に曲げて不満たらたらな様子である。


『何かご不満でも?。』


実況のロリンは二人の様子に眉を寄せて困惑する。


『確かにノーマル種は凄いんじゃが。騎竜乗りがのう。やはり少女の身体はぺったんこではなくてはならないのですじゃ。発育途上である微乳こそ至高。あのような胸の膨らみなどロリには不用なのですじゃ!。』

『まったくですわ!。ロリ少女はまっさら胸こそ美しい造形美をかもしだせるのです。あのような贅肉の塊のような胸の膨らみなどチャーミングで可愛いらしいロリ少女には不用なのです!。ロリ度として底辺ですわ!。』


解説のセルリアとオロゾフはお互いのこだわり(性癖)を熱弁していた。


ギャアあああーーーーーーー!!

(喧嘩売ってんのコラぁッーー!!。)


俺は怒りの怒号を放つ。

ロリ巨乳が何処が悪いって言うんだ!。お前らはやれ巨乳だから。やれロリは微乳でないとだめだとあーだこーだ言いやがって!。

俺はふつふつ怒りがわく。

こちとら小振りで巨乳なバランスのよいバトリシアお嬢様の胸の膨らみを背中に押し付けて貰えて嬉しいのに。それをお前等ときたら····。


『ロリだげど胸の膨らみがあるから駄目だって?。』


それを偏見と言うじゃボケえェーーーー!!。

俺は勝手な言い分をさらすロリコン解説者二人に対して大いに激怒し憤慨する。

俺はロリコン趣味の奴等とは一生相容れないと悟る。


「何なの?。あのノーマル種。一気に先頭に出たわ。最後尾にいたのに。どういう加速飛行なのかしら。」


アキナイは先頭を一瞬でとられたことに戸惑っていた。


『姐さん。驚かずに聞いておくんなましい。』

「どうかしたの?。オワシ。」


宝輝竜オワシの額に汗を流しいつもと明らかに様子がおかしかった。


『わい、あんな加速飛行するノーマル種初めてみたや。自分でもごっつおかしいこと言っているさかい。気にせんといてくれ。あのノーマル種が加速した原因は胸や。騎竜乗りの胸で加速してるんや!。』

「何を言っているの?オワシ。」


オキナイはオワシが意味不明なことを言い出して自分の騎竜が一瞬おかしくなってしまったんじゃないかと疑ってしまう。


『事実や。姐さん。わいの竜の見る目には間違いあらへん。あのノーマル種ライナの異常な加速飛行の原因は騎竜乗りの胸を押し付けて擦りつけることで発動するんや!。』


オワシの突拍子もない解答にアキナイ・マカランティーヌは時は金なりの文字のついた扇子をずると落っことしそうになる。


「そ、そんな方法で加速するなんて聞いたことないわ。」

『事実や。あのノーマル種のライナはバトリシア・ハーディルちゅうお嬢さんの胸の膨らみを押し付けて更に左右に擦りつけることで飛行がより加速しとるんや。ほんまどういう原理か理屈か解りまへんけど。わいの宝輝竜の固有スキル竜の視る目に間違いあらへん。』

「そ、そんな加速方法があるなんて聞いたことないわ。バトリシア・ハーディルもよくもそんな変な竜(ドラゴン)を欲しがろうとしたものね。」


バトリシア・ハーディルは騎竜収集家と知られているが。そこまで変な騎竜を欲しがるなて物好き以外何物もでもない。


『あ!でも姐さん。姐さんには無理やで。姐さんがあのノーマル種の騎竜乗りになってもあんな加速飛行出来まへんがな。なんせ胸無いし。』


オワシの一言にアキナイの上品な顔立ちがカチンと冷たく凍る。


「オワシ····レース終わったら。後で折檻室ね····。」


重みのこもった冷たい言葉が小さな紅の唇からこぼれる。

折檻室とはマカランティーヌ家に伝わる騎竜専用のしつけ室である。


『何でやあ?。わい、何か悪いことしたあん?。』


宝輝竜オワシは何が主人の怒りを買ったのか理解できなかった。


「何なのあのノーマル種。いきなり後方から飛び出してきたわ。でも絶好のチャンスね。あのノーマル種を倒せばボーナス分の金額も手にはいるわ。」


エルフのシャルウィは嬉しそうに舌なめずりする。


『油断しないで下さいシャルウィ。ノーマル種が最後尾から一気に先頭に立つなど有り得ないことです。何かしらの力を隠し持っているに違いありません。。』


妖精竜のマティはライナの放つ異常なエネルギーと精霊の流れを敏感に感じとっていた。


「何を言っているのシャルウィ?。所詮はノーマル種よ。魔法も満足に放つこともできない。まともなスキルも持ち合わせていない。下等な竜種じゃない。楽勝よ!。」


シャルウィは妖精竜マティの助言も聞かず。ノーマル種ライナに突撃することを指示する。


油断するなと言っても聞く玉でも有りませんね。

はあとマティは深いため息を吐く。妖精竜マティは目の前に見えるノーマル種に目掛け鮮やかな青と白のコントラストの鱗を帯びた翼を広げる。


「やった!ルル。ノーマル種が先頭に出たルル。これで倒すことができるルル。お金が沢山貰えるルル。」


栗色の獣耳がぴんと立ち。シャービト族のロコは喜びに震える。


「ロコ、矢張あのノーマル種を侮らないほうがいいです。どう見ても最後尾から一気に先頭まで到達するノーマル種なんて異常です。」


水竜アクラは先頭を飛行するノーマル種にたいして危機感を感じていた。


「何を世迷い言を言っているルル。絶好の稼ぎどころルル。他の騎竜乗りに横取りされないようにさっさと向かうルル。」


ロコは水竜のアクラの背に急かすようにぴょんぴょんと跳び跳ねる。

水竜アクラは仕方なくヒレ動かし先頭を飛行するノーマル種へと向かう。


「マーム、あのノーマル種凄い!。ルルクルリの横一瞬で横切った。」


ジジジジ

草虫竜マームは虫の鳴き声で返す。


「面白い!メルクルリ。あのノーマル種と全力で戦いたい。マームもそう想う?。」


ジジジジ

虫顔のマームは顎をおとして頷く。


「じゃ、戦おう。」


小人族のメルクルリは草虫竜マームの虫羽根を震わせ先頭のノーマル種へと向かう。


三人の強豪の騎竜乗りと騎竜は各々の目的の為にバトリシア・ハーディルが乗るノーマル種ライナに戦いを挑む。

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