第79話 意地と見得
バサッ バサッ
野外授業が対闘訓練になり。俺とアイシャお嬢様はペアを組んだキリネと一緒にラナシスさんと一緒に共同訓練相手である2年生のセシリア・サウザンドとイーリス・カティナールと上空で対峙していた。セシリアお嬢様の相棒である騎竜は胸元が露出したドレスの美女の姿の人化は解かれ。花の香りがするローズ色の花模様の鱗をした竜になっていた。確かセシリアお嬢様の騎竜はレア種魅華竜ソリティアと言っていたなあ。レア種だから強いだろうが。魅華竜ソリティアの身体から心がそそられるほどの香しい華の匂いがした。魅華竜ソリティアの特性だろうか?。匂いを嗅ぎ続けると魂が持っていかれそうなほど酔ってしまう。もう片方の令嬢イーリスお嬢様の騎竜は鋼色の鱗に覆われた巨体の竜であった。翼がギザギザした刃物ようになっており。剣帝竜と言われてるから剣に関した竜だと推察していたけど。エンペラー種剣帝竜の巨体の背に乗るイーリスお嬢様は無言のまま視線を俺に向けてくる。
「アイシャ、ライナ、あの女は僕に殺らせて。僕が片付けるから。」
何か物騒なことを述べているんだが。姉妹同士仲が悪いと解るけど。もう少し穏便にいこうよ。
俺の竜の口許がひきつく。
「私としてはノーマル種のライナとアイシャ・マーヴェラスと戦ってみたかったのですけどね。」
セシリアお嬢様は色香を漂わすほどの流し目を俺に向けてくる。
「姉様何を企んでいる!。まさかライナを狙っているのか!。そうはさせない!。姉様はいつだって僕の好きな道を阻む。いつでも卒業する機会があったのに。家の権力を駆使して落第してそんなに僕を卒業させたいのか!。」
キリネはギリっと歯を噛みしめ。憎々しげに姉であるセシリアを睨み付ける。
「貴女が家を嫌うのを解るわ。男装し、瞳も髪の色も変えてしまうのだから。」
え?キリネって髪と瞳がブラウン色じゃないのか?。つまり姉と同じ白銀のブロンドの髪をしているのか。キリネの白銀ブロンドの髪想像してみる。しっくりくるほど似合っている。
「お父様も心配しているのよ。サウザンド家は貴女が継ぐべきだと断言するほどにね。」
「何言っている?。姉様が引き継げばいいだろう。あんな家。」
セシリアは頭を振る。
「お父様は貴女の方がサウザンド家に相応しいと言っているわ。」
「つくづく勝手な父親だ。僕は絶対にあんな家は継がないからなあ。」
キリネは吐き捨てるように呟く。
『セシリアお嬢様は少しお遊びが過ぎますよ。』
会話は黙って聞いていたキリネの騎竜である幻竜ラナシスが口を出す。
「あら?貴女が庇うなんて珍しいわね。」
「はい、私もアイシャ・マーヴェラスの騎竜であるノーマル種ライナと出逢い。変わることができましたから。」
ラナシスは落ち着いた口調で述べる。
「ふ~ん、矢張あのノーマル種のライナが影響していたのね。やっぱり欲しくなったわ。サウザンド家の権力駆使して手に入れて見ようかしら?。」
「姉っ···様······。」
ギリ
ゴゴゴゴゴゴ
キリネは口許が怒りに歪み鋭い眼光を放つ。
それを陰から見守っていたセシリアを背に乗せる魅華竜ソリティアははあ~っと力を抜けたため息を吐く。
またお嬢様の悪い癖がでた。そんなに溺愛している妹をいびらなくてもいいのに。
セシリアお嬢様の性格をよく知る相棒のソリティアは全ての行為が妹キリネお嬢様の為だと理解していた。ノーマル種ライナを手にいれたいという発言も言い回せばノーマル種のライナを欲しがっている妹のキリネお嬢様の為でもある。
ほんと面倒臭い姉妹関係ですよ。
『ふむ、全く持って複雑な家庭事情よ。そう想わぬか。ライナよ。』
横目で観察していたイーリスお嬢様の騎竜、剣帝竜ロゾンが俺に問いかける。
ギャアギャガアギャギャアラギャアガアギャ
「そうですね。出来れば関わりたくないです。」
俺は微妙な竜顔を浮かべる。
『我が主君であるイーリスお嬢様もいたくお主を気に入っておられる。』
ギャガアギャギャ?ギャアガアギャガアギャラギャアガギャ····
「そうなんですか?。全然表情からは読み取れないんですけど····。」
全く持って無表情で解らない。じっと視線を向けてくることしか解らない。
「ねえ?ライナ、話からしてキリネのお姉さんと目の前のイーリス先輩とも親しいけど。いつから面識あるの?。」
背に乗るアイシャお嬢様は俺に質問する。何だか後ろの背中からとてつもない威圧感というか悪寒を感じるのだが。気のせいだろうか?。
ギャアガアギャラギャアガアギャラギャアガアギャガア
「昨日の校舎から右の塀を抜けた森で知りあったんですよ。」
「右の塀を抜けた森?。何でそこに行ったの?。」
ギャッギャアガアギャア ギャ
「いや、ただの散歩です。はい。」
「ライナ、何だが主人である私を差し置いて勝手すぎない?。」
ギャガギャア····ギャガアギャギャア····
「そんなことは····ないと思いますが···。」
俺の竜口が微妙に引きつく。
と言いたいが。俺は過去に勝手にレッドモンドさんと修行したり。シャービト族のルゥと一緒に森に入ったり。確かに振り返れば騎竜として好き勝手していた気が···しなくもない。
「ライナ···授業を終わったら。話があるから。みっちりしつけをするからね。カーラと一緒に。」
何でカーラさんの名が出るんだろう。あの人確かにしつけ(調教)好きだけど···。
対闘訓練でキリネがセシリアお嬢様と。アイシャお嬢様がイーリスお嬢様と戦うことになった。今度は騎竜同士だけではなく。騎竜乗り同士の戦い許可されている。
『ふむ、ではライナよ。お主の実力見極めさせて貰おうか。エレメント種、エンペラー種、レア種を退いたその力この目で見せてみよ。』
本当に時代錯誤な竜だとしみじみ感じる。侍のような和風な格好していたのだから当たり前なのだが。
「姉様、ライナは渡さない!。あれは僕のものだ!。」
「ふふ、矢張サウザンド家のものとして血は争えないわね。その欲求こそサウザンド家にとって最も重要なこと。本当に欲しいなら奪ったらいいのよ。」
「また父様と同じようなことを言う。だから嫌いなんだ。父様も!姉様も!。」
キリネはぎゅっと唇を締める。
『はあ、全く本当に面倒臭い姉妹関係ですよ。』
セシリアを背に乗せるソリティアは愚痴をこぼす。
『それでもセシリアお嬢様と長く付き合ってるじゃないですか。』
キリネを乗せる四本角のラナシスは問い返す。
『まあ、相性が良いからですよ。私は魅華竜ソリティアとお嬢様は男、オスに関して誑かすことに相性が良いですから。』
『そうですか。相変わらず。貴女の特性は気に入りませんけど。』
『それは私も同じですよ。貴女のような身売りの固い女性は息が詰まります。』
『ウフフフ。』
『フフフフ。』
二匹のメス竜に黒い禍々しいオーラが放たれる。
『どうやら年配者として後輩のしつけは必要のようです。』
『お手柔らかにお願いしますよ。オバサン。』
騎竜は騎竜でメス同士の熾烈な戦いが始まろうとしていた。
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