第67話 イリュージョンズ・アイ(幻影眼)

俺とアイシャお嬢様達はパトリシアの裏手の敷地に来ていた。

広大な敷地を所有している令嬢パトリシア・ハーディルは彼女の邸の全貌を外側から垣間見て理解してはいたが。それ以上にパトリシア・ハーディルの領地は壮大で広大であった。遠くの山が見える所までどうやらパトリシア・ハーディル嬢の領地らしく。ホントにマーヴェラス家の領地とは雲泥の差である。没落したとは言え一応マーヴェラス家の領地も広い。牧場が殆どだが、今は使用人というかメイドは二人だけなので一部を除いて牧場は放置され荒れ放題である。

領民も一応いるのだが。騎竜を喪い没落してから年々減っているという。

パトリシア・ハーディルと決闘が決まり。レースはパトリシア・ハーディルの敷地で行われることになった。土地勘ではパトリシア達に有利性があるのだが。決闘を言い出したのは此方側などで従うしかない。

レースコースは岩石が連なる岩石が削り取られたようにできた路のコースであった。

立会人にアイシャお嬢様とレイノリア、そして何故かパトリシアのコレクションにされた騎竜達が集まっていた。


「レースをやるのも久々ね。それじゃ始めるけど。騎竜乗り同士の戦闘は無しにしない?。私自身戦うのは疲れるのよ。」

「構いませんよ。」


パールお嬢様は何も反論せずに了承する。


「そう。」


ニヤリとパトリシアの小さな唇から笑みが漏れる。

パールティー・メルドリンのメルドリン家は魔法使い系の貴族だからレースで魔法を使われると少し面倒だったけれど。これなら心配なさそうね。

パトリシアは内心ほっと安堵する。


「それじゃ、パール。ライナを宜しくね。」

「ええ、ライナ。一緒に頑張りましょうり。」

ガア


アイシャお嬢様は俺達に声援を送りその場から離れる。

パールお嬢様は俺の背に飛び乗り股がる。

パトリシア・ハーディルの騎竜ナーティアの対処法などは一応レインお嬢様から聞いている。レイノリアの魔眼は相手を操るような洗脳型ではなく。幻影、幻惑、幻を見せて惑わすスキルらしい。だから自我を保てていれば問題はないらしいが。どうやらレイノリアの魔眼はメスよりもオスの方が効きやすいらしく。本人からオスの本能には逆らえないと意味深な言葉を投げ掛けかけられたが。そんなことは関係ない。俺は決闘のレースで勝利するだけだ。


「それではレースコースは私の敷地の岩壁の路を進み。岩壁が途絶え平地についた先がゴールよ。」

「解りました。」


パールお嬢様は素直に頷く。


「さあ、早くレースを終わらせて希少なノーマル種のライナを貰いうけましょう。」


パトリシアは既に勝利宣言のような物言いをしほくそ笑む。


「アイシャの騎竜がそんな簡単に勝てるとは思わないで!。エレメント種もエンペラー種にも勝っているのよ!。」

「ふふ、それでも私の黒眼竜ナーティアには敵わないわ。特にオスであるノーマル種のライナにとってはねえ。」


パトリシアの小さなパープル色の薄紅に染まった唇で勝ち誇るように笑みをつくる。

オスという言葉にやけに拘るなあ。オスであることが弱点と言わんばかりの言いぐさである。

黒眼竜ナーティアが人化を解いた竜の姿はそれほど大きくなく。俺と同じくらいのサイズであった。漆黒の鱗に覆われ。鶏冠に見事な羊というか悪魔のような角を生やしていた。瞳は閉じたままだった。


『ライナ、貴方に力だけが強さではないことを教えてあげましょう。生物の本能には抗えないことを知りなさい。』


ナーティアは思念を通し俺に話しかける。


ガアギャアラギャギャアガアギャラギャギャアア

「そうかい。じゃ、俺は生物の理を覆してみせる!。」


俺は軽口で応戦する。


『減らず口を。貴方が余裕をみせれるのはここまでです。レア種の能力を特と味わいなさい。』


どうやら相当ナーティアを怒らせたようだ。瞳をとじて落ち着いた雰囲気を保っているようだが。ナーティアの漆黒の鱗に覆われた竜の身体から凍てつくような怒気のオーラが発っしている。


レイノリアはスタートの合図をかける係りになっていた。パールお嬢様を乗せた俺とパトリシアお嬢様を乗せたナーティアの目の前に立つ。両手を空高く上げた。

どうせまたドラGOー!!と言うんだろ。解ってるよ。

ドラGOー!!がレースの正式なスタートの合図だと理解しているのでもうズッコケないと心に決めていた。

パールお嬢様は身を低くし。俺の背中に密着する。


むぅにゅううううう~~♥️


おおお!!! これは·····!?。


パールお嬢様の成長しまくったはち切ればかりのボリューム感溢れる柔らかな二つの膨らみが強烈な圧迫感とともに俺の背中にむぎゅっと押し付けられる。竜の背中に強烈なビックサイズの肉厚の刺激を与えてくる。


効っ!くううううっ!!。効っくううううう!。背中にきっ くぅうううーー!!!。


ブン!!ブン!!ブン!!ブン!!

俺の竜の尻尾はハイテンションMAXオーバーで振りまくる。


「な、何しているのかしら?。」


パトリシアはライナの意味深な意味不明な動作に半分気味悪そうに流し目を送る。


『解りませんが。戦いのテンションを上げているように思われますが···。』


ナーティアもノーマル種ライナが起こす変な行動に正直気持ち悪いと思ってしまった。


「ま、まあ。何にせよ。ナーティアの魔眼にはどんなオスの竜でも屈服せざる得ないわ。」

『竜のオスの本能に抗うことは出来ませんから。』


「では、位置についてください。」


俺とナーティア達は決められたスタートラインの前に立つ。

お互い身を低くし飛び立つ準備をする。


「よーい······。」


立会人のアイシャお嬢様と周囲の他の騎竜達も息を飲む。

レイノリアのスッと両手を地面に落とす。


「ドラパルティール!。」


ギャあああああーーーーーー!

「フランス語じゃねえかああああ!。」


バサバサバサバサ

俺は突っ込みの竜の咆哮を放ちながら飛び立つ。


「ナーティア、一気にいきましょう。先行すれば先手もとれる筈よ。」

『はい、お嬢様。』


ナーティアは漆黒の翼を広げ大きく扇いだ。

びゅん

ナーティアは黒い翼を一振り扇ぐと物凄いスピードで加速する。

一気にライナとナーティアの距離が大きく開く。

魔眼持ちの竜だが飛行スピードも速い。上位種のレア種はある程度飛行能力も優れているということは聞いていた。


「えっと、確かアイシャに教わったBoin走行はと·····。」


俺の背でパールお嬢様は何の疑問も持たず。アイシャお嬢様から教わったBoin走行を試みる。

俺はBoin走行を発動すために大気中の気を竜身に集め出す。集気法を発動し黄色の粒子が集まる。


パールお嬢様は上半身を落とし。豊かな二つの膨らみのさきっちょが少しあたる間隔で止める。そして身体を左右にずらし揺すり始める。


ずりずりずりずりずり


おおお!パールお嬢様の胸があああああーーーーー!!。


パールお嬢様のボリューム感溢れるはち切れんばかりの二つ膨らみが背中に満遍なく擦り付けられる。


キタァ!キタァ!キタァ!漲ってキタァーーーーーーー!!!。


ギャアアあああああああああーーーーーー!。


俺は歓喜の咆哮を放ち。


緑色の翼が力強く羽ばたく。


ギャアアあああああああああああああああああああああああああああーーーーーー!!!

(オパパイーヨ‼️オパパイーヨ‼️オパパイーヨ‼️オパパイーヨ‼️オパパイーヨ‼️オパパイーヨ‼️オパパイーヨ‼️オパパイーヨ‼️オパパイーヨ‼️オパパイーヨ‼️オパパイーヨ‼️オパパイーヨ‼️オパパイーヨ‼️オパパイーヨ‼️オパパイーヨ‼️)


びゅん!

ライナは猛烈なスピードでパトリシアお嬢様が乗るニーティア目掛けて追い上げようとする。

岩壁が連なる路の空中を突き進む。


『お嬢様、パールお嬢様とライナが既に後方におります。』

「そう、なら丁度いいわ。ナーティア、彼等を魔眼の餌食にしてやりなさい。」

『はい。』


ナーティアの閉じた竜瞳の見開かれ。

縦線の瞳孔が開く。


『イリュージョンズ・アイ(幻影眼)』

カッ


カァッ!

鈍い光が放たれる。 


「何だ·····!?。」


突然ライナ達の前方の景色がぼやける。何処からかピンクの霧がたちこめ。周囲の岩壁がホログラムを写しただすかのように幻影が現れる。



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