第62話 精霊と呼吸
ギャガアギャアラギャアガアギャアラギャアガアギャアラギャアガアギャアガア
「あの、ナティさん風の精霊達を呼び寄せる方法から教えて欲しいのですけれど」
『そこからなのですか!。全く面倒臭いよこしまドラゴンですね。』
ナティははあっと何とも言えない失望感丸出しの竜の眼差しを向ける。
そんなに幻滅しなくてもいいでしょうに。ノーマル種が精霊を扱うこと事態有り得ないことなんだから。
俺の不満を他所にナティは風の精霊を再び集めだす。大気中に漂う緑の粒子がナティの竜の身体に集まり出した。
『こうするのです。解ったですか?。よこしまドラゴン。』
「········。」
俺は遠目の竜の眼差しを妖精竜ナティに向ける。
全然解らん。どこをどうしたら風の精霊が集まるのか。動作とか詠唱とか声も一切発っせす。何もせずにただナティの周りに精霊が集まりだすだけである。明確に精霊を集める方法は全然解らなかった。
ギャアラギャアガアギャアラギャア
「ナティさん全然解らないですけど。」
『何故解らないのですか!?。ドラゴンとあろうものが感覚で解るでしょうに!。』
妖精竜ナティは鼻息を荒げ憤慨する。
そんなこと言われても俺元々竜じゃないし。
俺ははっと閃く。そう言えば感覚で言うなら人間の姿のままなら解るかもしれない。精霊を集める方法を言葉で教わっても無理そうだし。人間の姿なら精霊を集める糸口が何か解るかもしれない。
ギャアラギャアガアギャアギャアラギャアガアギャアギャ?ギャアラギャアガアギャギャアラギャアギャ
「あのナティさん人間の姿で精霊を呼び寄せてくれませんか?。人間の姿なら精霊の呼び寄せ方が解ると思うので。」
『はあ?、何で人間になれば精霊呼び寄せる方法解るんですか!。意味が解らないです!。』
ナティは透明色の角を逆立て不機嫌に竜顔をしかめる。
俺は転生のことを説明しても信じないというか解らないと思うので一生懸命懇願するしかなかない。
ギャアガア!ギャアラギャアギャガアギャアラギャアガアギャアガアギャアラギャアガアギャラギャアギャラギャアガアギャラギャアギャ!
「お願いします!。人間の姿なら何か解ると思うので人化してください。アイシャお嬢様の為にもマーヴェラス家の為にもお願いします!。」
俺は土下座までして頼み込む。
竜に土下座が通用するかわからないけど。だがアイシャお嬢様やマーヴェラス家と口にすれば断る訳にはいかなくなるだろう。どうやら妖精竜ナティはマーヴェラス家に亡くなった騎竜に思い入れがあるようだし。
『グヌヌ····。』
ナティはアイシャお嬢様とマーヴェラス家という言葉に竜の口が閉じおもいっきし嫌そうに渋る。
ギャラギャアガアギャアラギャアガアギャアギャ?
「あの、もしかして、人化するのが嫌なんですか?。」
実際妖精竜ナティナーティが人化したところなどみたことはない。野外授業のときも竜のままだったし。リスが授業受けてもナティだけは外でドラゴンのままリスが授業を終わるのを校舎の外で待っていた。
『何で私が人の姿にならなきゃいけないんですか!。』
妖精竜ナティは嫌々気に竜顔が歪む。
そんなに人化するのが嫌なのか?。他の騎竜は殆ど人化していた。自然とともにある緑神竜ロロさんも主人であるシャービト族のルゥの為なら必要とあらば人化しているし。後はキリネの騎竜、幻竜ラナシスさんも一応人化したところは一度みたことはある。四本角生やした何処かミステリアスな品の良い大人の女性である。形の良いふくよかな豊かな膨らみを持ち合わせていた。是非その形の良いふくよかな大人の二つの膨らみを我が竜の背中に押し付けて貰いたい!!と、脱線しすぎた。
俺は我に返り竜瞳を妖精竜ナティに注ぐ。
ギャアラギャアガアギャアギャ?
「人化できないわけではないんですよね?。」
『あたりまえです!。できるに決まってます。他の騎竜がおかしいのです!。元々ドラゴンとして生まれたのならドラゴンとして姿を保つのが道理でしょうに!。』
ふんと妖精竜ナティは怪訝そうに竜の鼻息を鳴らす。
そういう価値観の持ち主か···。
まあ、ドラゴンがドラゴンのままでいるというのも一理あるけど。俺としては人化したあの豊満な発育のよい豊かな胸の膨らみを背中に押し付けて貰える機会が増えるで嬉しいのだけどね。
ギャアラギャアガアギャア!ギャアギャアラギャアギャガアギャアラギャアギャガアギャア!
「それを何とかお願いします!。マーヴェラス家の為にも、アイシャお嬢様の為にも!。」
『ぐ、わ、解ったです。でもこれっきりです!。』
何とかナティに頼み込み承諾してくれた。
パアッとナティの青と白のコントラストの鱗に覆われた竜の身体は光に包まれる。光がおさまるとそこには青と白のコントラストのチェッカーに染めた髪を靡かせる絶世の美女が立っていた。女神や妖精がよくイメージに着るキトンの布地のシルクに身を包み。Dカップサイズ位の胸の膨らみを揺らす。表情は紫波を寄せ怪訝そうな嫌そうな表情しているが、それでも美しい絶世の美女である。俺は内心、言葉遣いと容姿が合ってないだろうと心からそう突っ込み入れてしまうほどである。
『さあ、精霊を呼び寄せる方法を教えるです。』
人化したナティはスッと瞼を閉じ瞑想する。両手を大きく広げ集中する。
俺はその動作を一寸違わず見逃さないようにした。
ナティは瞑想する。
スゥイーー スゥイーー ハアーーー
ん?まさか!?精霊を呼び寄せる方法は呼吸が関係しているのか!?。
竜のままだと気付かなかったが。妖精竜ナティナーティが精霊を呼び寄せる時に独特の呼吸をしていた。精霊を呼び寄せるのに呼吸法が関係していることに俺はハッと気付く。
呼吸法は吸っては吐くというような単純なものでもない。気の扱いにも関係しており。太極拳や空手、はたまた出産のヒーヒーハアなど多種多様に呼吸法は存在する。どっかの宗教観では吸うことは生であり。吐くことが死であるという定義があったような気がする。何処だったか忘れたが。故に呼吸は単なる酸素の循環する息遣いではないのである。
俺は妖精竜ナティナーティから精霊を呼び寄せる独特の呼吸法を耳をすまし。竜瞳を注ぎ。習得することに集中する。
妖精竜ナティから精霊の扱い方を教わってから次の日、俺とアイシャお嬢様は休み時間に校舎中庭に散歩していた。一緒にスカーレット赤髪短髪のレインお嬢様と深紅の角と髪をはやした見事なプロポーションの美幌を持つ情熱的な美女の姿をしている炎竜ガーネットと一緒に歩いている。
「レイン、パール見かけなかった?。朝のホームルームから見ていないの。」
「いや、私もみていないわ。」
どうやらパールお嬢様は朝から授業を受けていないようである。そう言えばレイノリアも見かけなかったな。ガーネットと一緒に俺の竜舎に毎日顔を出してはお互い口喧嘩するというのが日課になっていたのに。
「ふん、あの口煩いロード種がいなくてせいせいする。」
ガーネットはああもう悪態ついてるものの。紅い眉をぴくっと動かし少し気にかけているようだった。
何だかんやで互いに仲の良いライバル関係を築いているようだ。俺の竜舎内で騒ぐ以外は迷惑だけど。
「あっ!?パール!!。」
アイシャお嬢様が友人の名を叫ぶとそこにベンチに座るパールお嬢様がいた。
ただパールお嬢様はまるで魂を抜けたように放心し。じっと無言で座っている。
アイシャお嬢様達は急いでベンチに駆け寄る。
「パールどうしたの?。朝のホームルームからいなかったけど。」
アイシャお嬢様がパールお嬢様に問いかける。アイシャお嬢様に気付いたパールお嬢様はゆっくりと此方を向く。
「アイシャ·····。」
魂が抜けたように放心していた。パールお嬢様は親友の顔を一瞥するとみるみると表情歪み。ぽろぽろと真珠位の涙がこぼれ落ちる。
バァッ!
パールお嬢様は突然アイシャお嬢様の懐に飛び込む。
「アイシャ!レイノリアが~!······。レイノリアが~!·····。うわあああああ~~~ん!!。」
「ちょ、パール!?。」
パールお嬢様はアイシャお嬢様の胸に顔をうずめ。涙をポロポロとこぼし泣きじゃくる。
その光景にレインお嬢様も戸惑う。
俺もあのしっかりもののパールお嬢様に諸に子供のように泣きじゃくる光景に絶句しながら静観するしかなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます