第200話出撃!ナジメゴレム
「それでは仕切り直しと行くのじゃっ!覚悟するのじゃっ!」
「はっ!?あ、ああそうだったわねっ!それはお前がねっ!!」
ナジメゴレムはバサに向き合いそう啖呵を切る。
「い、一体何なのよその木偶の坊はっ!そ、そんなんでオレの動きについて来れると思ってるの?鈍臭くなっただけじゃないのっ!」
バサは大剣を構えナジメに向かい疾走する。
「お主には2つ言っておくことがあったのじゃ」
「はぁ?今頃何よっ!」
「このナジメゴレムはわしの魔力で動いておる」
「だからな、な、なにぃっ!?」
「じゃからわしの魔力が続く限り自由自在、変幻自在に操れるのじゃ」
ナジメはその巨体ではあり得ない速度でバサの前に一足飛びで接近する。
そしてその腕を「ブンッ」とバサに向かって薙ぎ払う。
ガギィンッ
「うぐっ! ぐわぁっ!」
「よし、こちらが本体じゃったなっ!」
バサはナジメの重い攻撃を大剣で受けてはいたが、その威力を抑えきれず短い悲鳴を上げ飛ばされる。
「それではさっきのお返しと行こうかのぉっ!」
「っ!!」
ナジメはすぐさま追走するがそれよりも先に、バサは大剣を地面に突き刺し威力を殺し態勢を整え始める。
「うむ、中々の身のこなしじゃったが少し遅かったようじゃなっ!」
「甘いわよっ!」
バサの前に現れたナジメは、再度腕を振るうがそれは空振りに終わる。
「うぬっ?これは偽物じゃったかっ!うぐあっ!?」
ガギンッ!
そして右側方からの大剣の攻撃を受けてしまう。
「うぬぬっ」
「あははっ!動きは速かったけど、死角が多過ぎじゃないっ?」
ガギンガギンガギンッ!
バサはそう言い、ナジメの視覚の外から数度大剣を叩きこむ。
「いい加減鬱陶しいのじゃっ!」
ナジメはそれでも腕を振り回し、大剣を受けてはいたが土壁程の耐久力がないのか、その体を徐々に削られていく。
「わはははっ!結局なんだったのそのナジメゴレムってやつはっ!全然役に立たないじゃないのよぉっ!さっさと降りて戦った方がいいんじゃないのぉっ!」
ガギンガギンガギンッ!
高笑いをしながらも、バサは攻撃の速度を更に上げていく。
それにより、ナジメゴレムの外装がボロボロと剥がれ落ち土に還っていく。
「あ、あああっ!お姉さまの体がっ!」
「お、お姉ぇがボロボロにっ!」
「スミ姉の胸がちょうど元の大きさにっ!」
「う、うううっ~スミカおねえちゃんが……」
「いや、いや、あれはナジメが作った人形だからっ!」
それを見て悲痛な声を上げるナゴタとゴナタとラブナ。
元の大きさって何?ちょうどってどれ?
それとユーア。
泣くことはないんじゃないっ? あれ偽物だかんねっ。
本物はこっちだよっ! お姉ちゃんの本体はここだよっ!!
「あはははははっ!!」
「無駄じゃよ。バサよ」
「何がよ?」
「さっき言ったじゃろ?ナジメゴレムはわしの魔力で動いておるとな」
「だから?」
「こういう事じゃよ。ふぬっ!」
「っえ!?」
バサの攻撃により削られた外装らしきものと、周囲の土が浮き上がりナジメゴレムに吸収されていく。そして今までより一回り大きいナジメゴレムに変化した。
「むふふ。最初からやり直しじゃな。バサよ」
と胸の穴から顔を出しドヤ顔をするナジメだった。
「い、いくら元に戻るからって、結局はお前の魔力が切れたらそれで終わりよっ!そうなったらオレの勝ちじゃないっ!だから結果は何も変わらないわっ!」
「うむ、お主の言う事も最もじゃ。じゃがお主だって体力を消耗するじゃろう?それともわしの魔力が尽きるか、お主の体力が先か競争でもするかのぅ?」
「の、望むところよぉっ!」
「と、思ったのじゃが後がつかえているから、もう終わりにするかのう」
「そんな事言ったって、お前はオレを捕捉できないじゃないのぉ」
バサはそう言ってナジメより少し距離を取る。
能力を使用して攪乱するつもりだろう。
「確かにそうじゃな。お主を完璧に捉える事は今のわしには出来ぬ。ナゴタなら超速度で全て捉えるやも。ねぇねなら何か策がありそうじゃが、わしはそこまで速くも動けぬし賢くもない。ならそこは、わしが得意な魔法で補うだけじゃ」
「あははっ!やってみなよぉ!」
バサは挑戦的な笑顔を浮かべナジメに接近する。
「うむ、ではやってみるのじゃ、いくぞバサよっ!」
ナジメはそう言って背中を少し屈めて前傾姿勢になる。
そして背中からズブズブと何かが生えて来る。
「な、何よそれっ!」
その異形を目の当たりにし動きを止めるバサ。
「うわ、何か出てきたぞっ!お姉ぇ!!」
「何それ、き、気持ち悪いわよっナジメっ!!」
「ス、スミカお姉ちゃんっ怖いよぉ!」
「ううう、どんどん私が化け物に……」
そしてユーアたちはそれを見て悲鳴を上げる。
そこには――――
「ぬははっ!これならお主が何人いようとも関係ないのじゃっ!」
そこには背中から腕を10本生やしたナジメゴレムが立っていた。
「では覚悟するのじゃバサよっ!」
そしてナジメゴレムはその生えた腕を振り回し、
ギュ―――――ンッ
「の、伸びるのその腕っ!!」
伸ばした腕で、バサの気配全てに襲い掛かる。
ギュインッ
ガギィンッ!!
「う、か、固いわっ!伸びてるのになんでよぉっ!?」
その腕の1体がバサの本体を捉えたようだった。
バサは襲い来る腕に大剣で切り付けたが弾かれていた。
「無駄じゃよ。腕の手首までは『土鉄壁』の魔法をかけておるからのぅ。ゴナタならまだしも、お主程度では壊せぬのじゃ」
「な、なら腕を狙えば済む話でしょうっ!簡単に弱点を教えるなんて随分と自信があるのねその姿にっ!!」
バサは襲い来る無数の腕の上部に剣を叩きつけ、迫りくる腕を潜り抜けながらもナジメ本体に肉薄する。
「ぬう、もうここまでっ!?」
「くたばれぇっ!木偶の棒っ!!」
ズブゥッ!!
そして垂直に構え、突き出した剣はナジメゴレムに深々と突き刺さる。
「うがぁっ!」
「あらら、随分と脆くなったわねっ!魔力がもう限界かしらぁ?」
バサは突き刺さった大剣を更に強く押し込む。
今のナジメゴレムには、さっきまでの硬度は失っていた。
「う、ぐぐぐっ」
「あらら、どうしたのもう終わり?あはは」
ナジメの反応を見て口元を緩め今度はグリグリと剣をねじ込む。
「がぁっ!!」
「はははははっ!」
更に口元を歪め愉悦の声をあげるバサに、
「な~~んちゃって、なのじゃよ」
「はっ? け、剣が抜けないっ?それどころか腕もっ!?」
バサはその変化に驚愕の声を上げる。
「わしの話をちゃんと理解しなかったから引っ掛かるのじゃよ?バサよ」
そんなバサにナジメは「ニヤリ」と不敵な笑みを浮かべていた。
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