第104話はれんち乙女じゃないよっ!
姉妹の二人が街に住む為には、私の今までの行動が関係しているようだ。
ってか、私がしてきた行動って何?
そんな目立つ行動したっけか?
『あっ!』
もしかして………………
※今回は本編には関係ありますが、殆ど蛇足の話になっています。
ちょっと性的な描写があります。苦手な方はご遠慮ください。
「一番の問題は、スミカさんがやってきた事なんです。それが今回の要だと言えます」
人差し指を立てて、説明するクレハンにみんなが注目している。
が、私だけは内心ビクビクしている。
『わ、私が街でしてきた事ってなに? 思いつくのは屋根の上を走り回って、ワナイに注意された事ばっかりなんだけど。しかもスカートの中味を見られて…… はっ! ま、まさかっ!』
まさか、私の〇〇〇が目的?
「ちょ、ちょっと待ってクレハンっ! 私は反対だよっ! 私はそんなハレンチな乙女じゃないよっ! い、いくら何でも、そのぉ、スカートの中を見せるのは…… いくら私が魅力的だからって、街の人や冒険者たちを、い、色気で釣ろうだなんて……、そ、そんなの間違ってるっ! か、可愛い下着もないしっ!」
クレハンの話を先読みして、ムキになり反対意見を述べる。
いくら姉妹の為でも、私をエサにするのは間違っている。
それに、街の子供やユーアだっているんだよっ!
下手したら、私、ワナイ警備兵に捕まっちゃうよっ!
逮捕されちゃうよっ!
「えっ?」
「はれんち?」
「スカート?」
「色気?」
「可愛い下着?」
一気に捲し立てた私に注目する5人。
『くっ!!』
ササッ
そんなみんなの視線に耐え切れずに、すかさずユーアの背中に隠れる。
特に男どもの、私を見る目に耐えられない。
きっと私をそう言う風に見ていはずだっ!
言えばすぐに見せてくれる女だと……
「ス、スミカさんっ? 一体何を言って――――」
「ダ、ダメっ! 絶対にダメだかんねっ! 子供たちだっているんだからねっ!」
クレハンが何か言ってくるが無視して抵抗する。
もし、この作戦が成功したとしても、私が街に居られない。
ただでさえ目立つのに、更に悪目立ちしてしまう。
蝶のコスプレの私を見かける度に――――――
『あ、パ〇ツのお姉ちゃんだっ!』
『こらっ! 指さすのは止めなさいっ! ハレンチが伝染るわよっ!』
『おうっ、蝶の嬢ちゃん、今日は何色履いてんだっ! ああんっ?』
『こ、これ、僕が買ってきた物ですが、どうぞ履いてみてくださいっ!』
『今日も、ちょっとだけ捲くっていいですか? ハァハァ』
『そ、そう、ちょっと顔を赤らめて俯き具合に。ふぅふぅ』
「………………くっ!」
私はその光景を思い浮かべて絶望する。
もしかしたら冒険者を辿って、他の街まで噂が広まるかもしれない。
そうしたら、この異世界で、私の居場所がなくなってしまう。
「ユ、ユーアからも反対してっ! 私が街にいられなくなるからっ!」
「えっ!?」
小さい背中に隠れながら、必死にユーアに懇願する。
ユーアからも止めて欲しいと、嘆願する。
「ス、スミカお姉ちゃんっ! 一体どうしたのっ!!」
「そ、そうですよ、スミカお姉さまっ!」
「何があったんだっ! スミカ姉っ!」
「…………………………」
「…………………………」
ユーアと姉妹の心配する声が聞こえるが、男共の声が聞こえない。
半目でこちらを見て黙っている。
きっと私で想像してるんだろう。
『くっ!』
目を伏せて、恥ずかしそうにスカートの端を摘まむこの私を――――
―
『こ、今回だけだかんねっ! いつもしてるって思わないでよねっ!』
そう言って私は、羞恥に赤らんでくる熱を感じながらも、
ゆっくりと摘まんだスカートを捲っていく。
そう、じらすように、ゆっくり、ゆっくりと。
そうして、私の引き締まった細い足が、だんだん露わになってくる。
持ち上げる布切れは、膝の上を通り越して白い太ももに。
その先はもう――――
『…………なんか、逆に頭に来たかも』
隠れていたユーアの背中から「ガバッ」と顔を上げる。
ここはハッキリと言っておかないと、今後の私とユーアの生活に影響が出る。
「わ、私はそんな事になったら街を出て行くかんねっ! だ、だから私の体をあてにしないでっ! もしそんな事をしたら街を破壊するよっ! 全力で暴れるよっ!」
「「「………………」」」
これはもう最終通告だ。
これを聞き入れないと、この世界の街が一つ滅びることになる。
「だ、だから、私の色気や体を使ってはっ! ―――――」
「それはないですっ!」
「それは無えなッ!」
「スミカお姉ちゃん…………」
「スミカお姉さま、それは…………」
「スミカ姉…………」
「えっ! あれ?」
みんなの私を見る目がおかしい。
白い目。ジト目。呆れる目。
そこに私を心配する視線はなかった。
『こ、この空気って、何か勘違いしたの? 早とちりっ!?』
背中に変な汗をかきながら、みんなの視線を受け止める。
因みに汗は毎度のことながら、防具の効果でかいていない。
な、ならば、
「な~ん、ちゃってっ! さ、先に話を進めましょうっ!」
無言の視線に耐え切れずに、誤魔化すように先を進める。
決して私が間違っていたことを、悟られてはいけない。
そんな自信過剰女子に思われたくない。
「ま、まぁ、いいでしょう。スミカさんの言う通りに先に進めましょう」
クイと眼鏡を上げて、仕切り直すクレハン。
空気が読めるいい大人だ。伊達に眼鏡をかけてはいない。
ただし、それ以外の姉妹とユーアたちは――――
「ね、ねえ、ユーアちゃん、スミカお姉さまは一体どうしたのですかっ!」
「ユ、ユーアちゃん、あのぉ、さっきのスミカ姉ってっ!?」
「ボ、ボクもわかりませんっ! でもたまにあんな風になるんですっ! 良くわかんない事を突然言ったりして、それでいつもその後に凄く慌てるんです……」
「そ、そうなのですかっ! その時はどんな時でしたかっ!」
「スミカ姉が凄く慌てるって…… かなり気になるなっ!」
――――それ以外の姉妹とユーアたちは、さっきの一件をまだ気にしていた。
姉妹の二人は特に食い気味だ。
私はそれを聞いて、そっと耳を塞ぐ。
『……………………』
微かに聞こえるが知らない振りをしよう。
だって聞こえたらきっと落ち込む。
また長年引き籠るぐらいに。
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